日産自動車の最新技術が満載の『e-Power』シリーズ。タイヤを回転させる動力はモーターのみで、搭載されているガソリンエンジンはそのモーターを動かすための発電専用、いわゆる「シリーズ式ハイブリッド」といわれるカテゴリーに属します。同時に、回生ブレーキでの発電も利用され、モーターと回生ブレーキにより発生した電力によって走る電気自動車です。




そんなEV技術が搭載されて2018年2月に登場した超人気ミニバン『セレナ e-POWER』。ライバル車種といえば、トヨタ・ヴォクシー、ノア、エスクワイアになりますが、エスクワイアを販売するトヨタ・トヨペット店の敏腕営業マンKさんと凄腕メカニックYさんに試乗していただくという貴重な機会を得ることができたので、インプレッションしてもらいました。

----おふたりはトヨタ車を販売するにあたって、日ごろからライバル車に乗って商談の準備をするなんていうことはあるんでしょうか?


Y:いやぁ、乗ってまではありませんね。スペックを比較することはありますが。


----では、新鮮な感覚で乗っていただけるということで、率直な意見を聞かせてください。きっと両車が気になっているオーナーさんの参考になると思います。


K:ディスりすぎないようにしようと思います(笑)。

リヤハッチゲートの上半分の開け方は日産車ならではのギミック





----まずは外装から。なにか感じることはありますか?


K:特に印象はないかな。普通かな。




----あっさりとした答え、ありがとうございます。


Y:僕はこの水色のラインが気になりますね。やっぱりエコはこの色なんですかね。それから、フロントバンパーにある、レーシングカーのカナードみたいなデザイン。スポーティな感じを演出していることは伝わってきました。ニッサンらしいこだわりですかね。




----リヤハッチゲートを開けてみましょう。これ、非常に重くて、女性が閉めるときがちょっと大変かなと思いましたがどうでしょう。


K:背が低い方はちょっと大変かもしれませんね。


Y:いやいや、これ、半分だけ空くんですよ。日産のロゴの部分も手前に引くと・・・。


K:ほんとだ! これはトヨタのロゴだとできないなぁ(笑)。日産ならではの使い勝手と仕掛けだね。

トヨタは割り切って小さくなりつつあるという収納スペースは?



----車内をチェックしてみましょう。


Y:グローブボックスの大きさが印象的です。




----そういえば、うち(三栄書房)の社用車のひとつがプリウスなんですが、グローブボックスが小さいですね。


K:トヨタ車は、プリウスにしても車検証が入らないくらい小さくなっている傾向がありますよね。これはある意味トヨタらしく、市場調査の結果から無駄を省いた結果なんだと思います。ラゲッジルーム下の収納スペースについても、スペースを確保してもなんだかんだユーザーはそこにモノを入ないという統計が出ているんですね。収納になにも入れてない人が意外と多い。そこを割り切ってつぶしているのですが、クルマを売る方としては、ちょっとやり過ぎじゃない?って思うときはありますね。


K:フロントシートの背面にUSBジャックがあるのも今のクルマらしい。トヨタ車にはあまりないですよね。運転席側のダッシュボードを開けてもUSBがあって、助手席側にもオーディオ用としてのUSBがあって、いまどきの装備ですね。リヤシート裏のトレーもあって、家族連れにはいいですね。これはトヨタも負けてないかな。



----ルームミラーにリヤビューカメラとミラー併用のタイプが使われていますね。これは私個人の問題なのですが、最初は距離感の認識が難しいのと、老眼だとピント合わせに困るときが……


K:自分もあまり好きじゃないかなぁ~。


Y:これはオーナーさんの好き好きですね。




----サンバイザーにてんてんがありますね。


K:サンバイザーを降ろしたときに信号が見えないなんてケースがありますが、これがあると透かして見える。こうした点は、ホンダ車もよく頑張っていて、このあたりの配慮はトヨタはちょっと負けている感じが常々しているんです。


使い勝手をよく考えられていて、非常に良いですね。



----シフトノブは、プリウスに採用されているタイプよりも二回りくらい大きくて、しっかりしてますね。


Y:そうですね。ワタシはどちらでもいいかな。


K:さっきから、シフトノブの右側のパーキングブレーキの『P』と、下の〇のPが混同してわからなくなったりするけど、これも使っていれば慣れていくと思います。しかしまぁ、これは日産だからってわけじゃないんだけど、スイッチ類の数が増えてアイコン表示が増えてきて、これがまた微妙な表示でなにを言ってるんだかパッと見でわからなくなってきてない?


Y:指のにおいを嗅いでいるみたいなマークもありますね、これなんか(笑)


K:使っていればそのうち慣れちゃうのかもしれないけど、ちょっとわかりにくくなってきているとは思います。

日産の自動運転技術とトヨタの運転支援技術との考え方の違いが見えた



----プロパイロット(自動運転)を使ってみましょう。


K:修正舵は、マイルドでいいと思いますね。車線の中を行ったり来たりする動きがもちろんあって、若干気持ち悪いですが、これがいやだという方はステアリングサポートのないクルマを買ったほうがいいと思います。ロングドライブでうとうとしているときには、本当に助かる機能だと思います。


100%信用してはいけないと思いますが、昔に比べると本当に運転が楽になりましたよね。




----トヨタ車の運転支援との違いは感じますか?


Y:トヨタ車はどちらかというと危険を知らせる動きであったり、クルマを元に戻す動きであったり、危険を教えるための動きではないかなと思いますね。


K:セレナe-POWERは、自分でレーンキープして走ろうとする。ブレーキも前車に合わせてしっかり踏んでいる。ブレーキランプ、しっかり灯いているんでしょうか?(※編集中/点灯します)


パッと前のクルマが出てきてからの認識と動きもスムーズですね。これは、まさに自動運転と言ってもいいのではないかと思いますね」


Y:トヨタも当然やれるのですが、トヨタはお客様の不満が少しでもあるうちはやらないということでしょうね。


K:高速道路を運転していて、左車線をゆっくり走っていて、追い越そうと右に出ると


車線またぎの状態で加速するという動きはすごい。ストレスないですね~。




----雨がひどくなってきましたね。


K:そうなんです。レーンキープされるのかどうか気にしながら走っているのですが……雨でクルマが浮きそうなくらい水がたまっているような場所を走っていると、レーンキープできないときがありますね。これは、日産の問題ということではなく、自動運転にとっては大きな課題となる現象ですね。

意外と聞こえてくるエンジン音

----意外とエンジン音がするものなんですね。


K:けっこうエンジン回ってますね。アクセルの踏みしろとエンジン回転数がシンクロしていることが多いので、ガソリンエンジンだと勘違いする瞬間がありますね。


Y:同感。意外とエンジン車っぽい音の印象です。


エンジンブレーキに関しては、普通のノーマルモードよりSやECOモードで電力を回収したいというの考え方が伝わってきますね。Sモードはモーター音がわかるくらい、アクセルを踏んでいると回生していることがわかります。


 燃費については、ECOに入れるとかえってコントロールがうまくできないことがあって、私の場合はノーマルの方が燃費が良い、なんていう場合がありますね。あえて踏みづらくしてるのかな? おなかペコペコの人に煎餅をあげるみたいなw。


K:加速感は悪くないと思いますね。良いと思います。ただ、モーターの加速感がもうちょっとあるのかなと思っていました。ハイブリッド車のほうが加速はいいですね。それから、直進安定性はトヨタには勝てないですね。でも、セレナもしっかり感はあります。


Y:剛性感は、高速に入ったとき、低速だけどけっこうロールするなと感じましたけど、思ったより悪くないですね。突き上げ感もないです。


K:サスペンションは柔らかいというか、もうちょい踏ん張りが欲しいかな。アクセルオンオフの時のピッチングが強く感じます。そのあたりはエスクワイアのセッティングのほうがよさそうですね。




 ※  ※  ※




トヨタ車と日産車を比べてみて、御互いの利点や特長が良くわかったというトヨペット店のYさんとKさん。きっと、今回の試乗で感じたことを、日々の営業で活かしていただいていることでしょう。




そして、微妙な企画にもかかわらず、快く試乗車をお貸しいただいた日産広報様、ありがとうございました。




★他メーカーのクルマに乗ってみたい!というようなご要望がありましたら、ぜひモーターファンjpまでお知らせください。場合によっては実現するかもしれません。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 日産 セレナ e-POWERをトヨペット店の営業マンがライバル車チェック!