これから編集部員の取材の足として、機材車として、大活躍してもらう予定です。
第一回目の今回は、なぜカジャーを選んだのかについてざっと説明します。
テーマは「ヨーロッパの日常と本気を知る」です。
リポート日:8月1日(1日目)
オドメーター:5057km
TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
2017年4月の開設から一年とちょっと、おかげさまで順調にPV(ページビュー)を伸ばしているMotor-Fan.jpですが、取材の機会が増えるにつれて、その必要性が高まってきたのが取材&機材車の存在だ。
これまでは弊社の社用車でまかなってきたわけだが、三栄書房は自動車以外の媒体も多く、そのうえ編集以外の部署の人間も社用車を使うため、いつもキーの奪い合い状態で、しかたなく個人車両で取材に向かうこともしばしば。新しく快適で、編集部員だけが気兼ねなく使える取材&機材車の導入を多くのスタッフが望んでいたのである。
そんなわけでこのたび、めでたく長期リポート車としてルノー・カジャーを導入することになった。なぜカジャーを選んだのか? これには明確な理由がある。
まず、日本で人気を確立している定番モデルではなく、ある程度ニッチな車種の魅力を引き出すのが自動車専門メディアたる使命というものだろう。この時点で日本とドイツのメーカーは除外された。イギリスはハイエンドなブランドばかり。となればフランスかイタリアが本命に浮上してくる。
セレクトを任された筆者は、かねてからヨーロッパへの出張時に毎度のように感じていたことがある。
1.ドイツやイギリスのような自動車先進国、そして東欧や北アフリカなどにおいて、我々日本人が想像する以上にフランス製やイタリア製の「フツーのクルマ」が存在感を発揮している。ルノー、プジョー、フィアットはその典型的な例と言える。
2.日本におけるフランス車やイタリア車は、ある程度キャラクターの尖ったモデルが重用される傾向があるが、ヨーロッパではその限りではない。
3.「古いクルマ、質素なクルマ」がワンサカ走っていて、「先進テクノロジーよりも味わい深さが重視されている」という我々の期待に反し、意外と向こうの人々は先進デバイスに抵抗がなく、なおかつプレミアムな仕立てを好む。
そんな傾向にピッタリ当てはまり、なおかつ日本に正規導入されているのがカジャーなのである。
ルノーもプジョーもフィアットも、日本にはある程度キャラクターの尖ったモデルを厳選して導入している。たとえばルノーでいうと、同ブランドの人気モデルはカングーとルノー・スポール系であり、どちらもキャラクターがかなり際立っている。最近はベーシックなトゥインゴも販売の柱になってきたらしいけれど、あれだってRRレイアウトという、かなりの個性派ではないか。
その点、カジャーはそこまでキャラクターが立っておらず、メガーヌを大きくしたクロスオーバーといったところで、率直にいってコレオスの販売休止(今のところ新型は右ハンドルの設定がない)がなければ日本に導入されていたのかあやしいところである。
だが、パリではウヨウヨ走っているのである、カジャーが。
パリっていったら、いまでもキャトルや2CVやサンクがたくさん走っていて、もちろんカングーもたくさんいて、たまにDS(昔のやつ)やXMが走っていてほしいじゃない? でも、確かにカングーは本当にウジャウジャいるし、コンパクトカーが主役であるのも事実だけれど、意外と幅を利かせているのはカジャーのようなミドルクラスのクロスオーバーSUVだったりするのだ。
そんなわけで、フランスやイタリアのフツーのブランドで、キャラクターの立ったトンガリ車種ではなく、なおかつちょっとプレミアム仕立て、という、ありそうでなかなかない、希有な正規導入モデルがカジャーだったのである。対抗馬はプジョー3008&5008くらいだ。
ずいぶんとひねくれた、裏の裏をかいて表に戻ってしまったようなクルマ選びになってしまったが、ともあれこれが「ヨーロッパの日常」を感じ、「ヨーロッパの本気」を知る絶好の長期リポート車を得るに至った経緯である。
今後、定期的にその魅力と実力をお伝えしていくので生暖かく(?)見守っていただきたい。