■M176


シリンダー配列 V型8気筒


排気量 3982cc


内径×行程 83.0mm×92.0mm


圧縮比 10.5


最高出力 345kW/5250-5500rpm


最大トルク 700Nm/2000-4000rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


ブロック材 アルミ合金


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 DI


VVT/VVL In-Ex/×

M176

 直列にエンジン生産を集約するのに8気筒だけはV型が残る?──というのは、V8は直4の構成要素の多くを共用できるため。だからボアは直4のM264と同じ83mm(ボアピッチ90mm)。オフセットピンの存在でウェブを挟まざるを得ないV6と違って、V8ではボアピッチを狭めればそのままエンジン長短縮に繋がるし、時流に沿ってS/V比を改善して冷却損失を減らせるロングストローク化も容易だ。




 旧来の4.7ℓM278から比べると、700ccのダウンサイジングと同時にボア径は10mmもの(ボアピッチは16mm!)小径化が図られた。にもかかわらず最高出力は20ps以上増加している。高い燃焼圧力に耐えるべく、4気筒版とは異なりシリンダーブロックは砂型鋳造のクローズドデッキとされ、ボア内壁はダイムラーがNANOSLIDEと呼ぶアーク鉄溶射が施される。

可変バルブリフト機構CAMTRONICを利用し、900~3250rpmの低回転時に2-3-5-8気筒のバルブをゼロリフトとし、燃料供給もストップする4気筒モードに移行。「世界一経済的なV8ガソリンエンジン」とダイムラーは標榜する。

M176シリーズのクランクシャフト。クロスプレーンのピン配列をとる。

M177

M177。「63」のペットネームを持つクルマのためのV8エンジンである。

■M177


シリンダー配列 V型8気筒


排気量 3982cc


内径×行程 83.0mm×92.0mm


圧縮比 8.6


最高出力 430kW/6000rpm


最大トルク 850Nm/2500-3500rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


ブロック材 アルミ合金


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 DI


VVT/VVL In-Ex/×

M178

M178。メルセデスAMG・GTのためのエンジン。

■M178


シリンダー配列 V型8気筒


排気量 3982cc


内径×行程 83.0mm×92.0mm


圧縮比 10.5


最高出力 384kW/6000-6500rpm


最大トルク 670Nm/1800-5000rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


ブロック材 アルミ合金


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 DI


VVT/VVL In-Ex/×

 メルセデスのフラッグシップ・スポーツカーSLS AMGの後継モデルであるAMG GT用に新規開発されたV8ターボエンジンがM178。SLS用のM159型は自然吸気の6.3ℓという大排気量V8だったが、新型には4.0ℓターボが選択された。ボア83.0m m×ストローク92.0mmというディメンションは直4のM133と同一で、実際M133をベースにV8としたと公表されている。




 M159同様のドライサンプ。ターボチャージャーはB M WのV8ターボ同様、Vバンク内に配置される内側排気で、ダイムラーでは「Hot Inside V」と呼んでいる。単体重量はこのセグメントでは最軽量とも言える209㎏。惜しみなく最新技術が投入されたダウンサイジング・スーパースポーツエンジンだ。

直上の2基のターボで高熱に曝されるシリンダーヘッドはジルコニウム合金製。通常のアルミ合金より熱伝導率に優れ、最高温度耐性も高い。さらにバルブスプリングの張力最適化と動弁系のフリクション低減で、正確なバルブタイミングを実現する。

新型メルセデス・ベンツSクラスが積む新型V8エンジンとは
情報提供元: MotorFan
記事名:「 ロクサンの心臓。Gクラスが搭載するAMG仕立てのV8──M176/177/178