スクランブラーというカテゴリーを現代に復権させることで、ドゥカティはそのブランドの地位をさらに高めることに成功した。スクランブラー400と800の2015年以降、昨年末までの世界累計販売台数は4万6000台に登っているという。そんななか最上位モデルとなる「スクランブラー1100」が新たにラインナップに加わり、同シリーズの完成を果たした。


REPORT●近田茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

 空冷単気筒エンジンを搭載していた往年のスクランブラーは250、350、450の3機種が揃えられていたが、それにならって現代のスクランブラーも400、800、1100の3機種をラインナップするに至ったという。




 搭載エンジンはいずれも同社を象徴する横置きL型の空冷ツイン。トップモデルの1100は、ボア・ストロークが98×71.5mmというショートストロークタイプの1079㏄2バルブのデスモドュエ・エンジン。


 φ55mmのフル・ライド・バイ・ワイヤ・スロットルボディと二つのサブバタフライ・インジェクターを備え、最新のスクランブラー専用チューニングが施されている。エアクリーナー容量を大きくデザインされ、広範囲でスムーズな出力特性を発揮すると言う。最高出力は86ps/7500rpmを、最大トルクは9kg・m/4750rpmを発揮する。

発表会とイベントの為にイタリア本国から来日したプレス&コミニケーション・マネージャーのマリーノ アンジェロ(左)とプロダクトマネージャーのカノーザ ロッコ氏。

 外観デザインもスクランブラーらしに加えて一段と逞しいイメージ。メーターデザイン等斬新なアイテムの投入も忘れていない。


 ネイキッドスポーツの中でもちょっとワイルドな雰囲気とツーリングに活用する現実的なシーンで極めて実用的である機能性に加えてズ太いハイパフォーマンスは大いに魅力的であると思えた。


400や800のオーナーも大きなスクランブラーに興味津々になれる逸材であることは間違いないだろう。




 ちなみに今回のプレス発表会(7月6日開催)は、この6月にオープンしたばかりのホテルを使用。多摩川を隔てて羽田空港の対岸に位置する川崎のThe WAREHOUSというオシャレな会場だった。夕刻からのプレスブリーフィング後は、スクランブラーのユーザーが続々と詰めかけ1100のデビュー記念イベントに。




 ドゥカティに限らないが、外車のオーナーになると、こうした特別企画のイベントに出会う機会が多いと思う。バイクその物の出来で勝負することはもちろんだが、オーナーとなった人に対してブランド力を徹底的に訴求し、そのブランドを大いに堪能してもらう。そしてさらに多くの価値を楽しんでもらおうとするメーカー姿勢が伝わってくることが多い。




 つまりオーナーは惚れたバイクに乗って喜びさらには仲間と集うオシャレな機会に恵まれるなど、自分のお眼鏡が間違いで無かった満足感を得て、そのトータルでの価値を楽しむことができるのである。

発表会ではスクランブラーを象徴するデザイン画も展示されていた。






ドゥカティ・スクランブラー1100……1,584,000円

スクランブラーのトップモデルである1100を象徴する15ℓ容量の新タンクデザイン。800のタンク容量は13.5ℓだ。

ガッチリと逞しさを表現するフルアジャスタブルフロントフォークはφ45mm。ちなみに800はφ41mmサイズ。タイヤもひと回りワイドな120/80ZR-18が選択された。ブレーキはφ320mmのセミフローティングローターをダブルで備えたブレンボ製。対向4ピストンタイプだ。

専用スイングアーム+左側にオフセットされたモノショックタイプのリヤサスペンション。スプリングのプリロードと伸び側のダンピング調節が可能となっている。

スクランブラーを象徴するワイドなハンドルは、テーパー形状のパイプにグリップヒーターを標準で組み合わせている。液晶表示のメーターはギヤポジションや走行モード等が判りやすくインフォメーションされる。

ドゥカティ・スクランブラー1100スペシャル……1,748,000円

前後シリンダーからの長さを揃えるように独特なデザインを施されたエキゾーストパイプ。シート脇にセットされたアップマフラーの採用が1100の特徴。写真のスペシャルはアルミスポークホイールを履く。

細部がオシャレにドレスアップされて上質なスクランブラー 1100スペシャル。アルマイト処理されたサイドカバーや、つや消しのスイングアームはアルミ製。エキゾーストパイプはクローム仕上げされている。

スペシャルに採用されているクラシック・ブラウン・シート。前部分はクロスステッチ風。周囲はダブルステッチで仕上げられて高級感がある。後席部分も滑らない表皮仕上げで座り心地は良い。

ドゥカティ・スクランブラー1100スポーツ……1,835,000円

スクランブラー 1100とスクランブラー 1100スペシャルがマルゾッキ製の倒立式フロントフォーク(φ45mm)なのに対し、写真のスクランブラー 1100スポーツはφ48mmのオーリンズ製倒立フォークが奢られている。

リヤのモノショックユニットは、スクランブラー 1100とスクランブラー 1100スペシャルがKYB製に対して、スクランブラー 1100スポーツはオーリンズ製を採用している。

純正アクセサリーも豊富に取り揃えられている。テルミニョーニ製のツインマフラーもそのひとつ。これは公道走行可能な基準適合品。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【158万4000円〜】+300ccの最上位モデル、スクランブラー1100は装備もスゴかった!/ドゥカティ