そのトルクセンサの代わりに、ステアリングホイールそのものでハンドル保持を検知しようというのが本システムの狙い。豊田合成との協業だ。たとえばアメリカの広大ないつまでもまっすぐ続く道みたいなものを想像してほしい。仮にステアリングを保持していたとしてもトルクセンサは検知が困難ということも考えられるケースだ。ステアリング自体で保舵を検知できれば、より高精度に操舵支援機能を使用できる可能性があるというわけだ。保舵を検知する仕組みとしては、静電容量式センサを用いる。
じつは、トルクセンサの代わりとしての本システムは高コストを招いてしまう。そこで東海理化はさらなる高機能化を狙った。手放し検知技術の、ジェスチャー入力への応用である。
通常、ステアリングホイールを握るのは5本の指すべて。そこで、握っている指の本数が一時的に変化することで静電容量の差を検知し、それを入力操作とすることを研究開発中だ。「それって、スマホで一般的なタップやスワイプやピンチといった操作も認識できるようになるんですか」と訊いたら、ひとつの静電容量センサでは難しいが複数を備えて組み合わせれば可能性はあるという。3時および9時の部分をタップするとウインカー作動、2本の指を滑らせるとボリュームコントロール、6時の部分をピンチするとカーナビのスケール変更──いかにも便利で面白くなりそうではないか。