もともと速さよりもフィーリングと考え、チューニングプランを練っていたスタッフ(このクルマのオーナー)だが、詳細な内容や効果などについて、藤田さんに相談していたところ、ノーマル以下の出力になってしまうのもなんだしね…ということで、NA的な出力特性が得られるであろうスーパーチャージャーメニューを試して見ようということに話が進んだ。
もちろん、ターボによる高過給を想定したローコンプエンジンでは期待する特性が得られないであろうと、同時にエンジンはハイコンプ軽量ローターとして知られるRX-8用を採用。分解、オーバーホールの際には、ニュルスペックポート(サイドポート)への加工も行ないエンジンの素性を高めた。
組み合わせたスーパーチャージャーは、控えめサイズのGTS7040。これは、ハイコンプ化しているので過給圧を抑える方向であること(設定はピークで0.35㎏/㎠程度)、ターゲット出力も250ps程度とGTS7040で収まることからの選択だ。
そして定められた計画を実行、完成した車両のポテンシャルには、製作を提案した藤田さんもビックリ。「絶対的なパワーは、数値なりですがトルクの出方やレスポンスは、良き時代のNAチューンを彷彿とさせます。いや、それ以上ですね」とのこと。
大げさでなく、フィールは3ローターNAのような力強さがあるし、出力特性はターボと違い高回転まで直線的。出力はブーストアップ時代より落ちたにもかかわらず、サーキットでのタイムは向上したというから、全域でのバランスは向上しているのだろう。
ちなみに、この結果を踏まえて近い将来的には、新型のGTS8550を使い過給性能を向上、レスポンスと出力の両方を高めていこうと計画しているというので楽しみだ。
重量ボリュームのある純正のシーケンシャルターボをキャンセルし、コンパクトなスーパーチャージャー(HKS・GT7040)をセットしたことや、バッテリーを小型化しABSの横に配置したことで、前後の重量バランスは48:52と大幅に改善。サーキットではノーズの入りが良くなったことを体感できるほどの違いだという。
クーリング性能の追求問い合わせ先:藤田エンジニアリング
インタークーラーはフジタエンジニアリングのオリジナルだが、重量増やレスポンスの低下、水温上昇を予防するためやや小型のコアサイズとなっている。サーキットアタック仕様でも採用しているパーツで容量面での不安はない。効率改善とフロントリフトの防止のため、オリジナルボンネットは後方に排出ダクトが設けられる。