RSワタナベRSエイトの15インチにヨコハマのグランプリM7(←懐かしい!)が組まれ、純正形状スポーツスプリングで車高30mmダウン。
さらに、運転席はBNR32純正に交換され、テールエンド脇のロゴも勇ましい柿本改マフラーまで入ってるじゃないか!
しかも、排気音がやたらと勇ましく(つまり、うるさい)、「こりゃオカシイ…」と思ってジャッキアップして下まわりを確認したら、フロントパイプも触媒レスの柿本改に交換されてたというオチ。パイプ本体に白いマーカー的なモノで『競技専用部品』なんて書かれてるのを発見したんだからたまらない(笑)。
これで車両価格7万円なら、お買い得だ。
触媒ついてないから違法改造車だけど(爆)!
つうか、ボディ色がGTS-Rのブルーブラックっぽいんだけど、それよりも濃紺に近く、しかもメタリックでなくソリッド。「こんな色、R31にあったっけな? GTS-Rみたいなリヤスポも付いてるんだけど…」と思いながら、まぁ安く買えたクルマだし、直6ターボのスムーズな吹け上がりも気持ちイイし、ボディ色のことなんてそれほど気にも留めず、通勤に取材にと毎日乗っていた。
安く買えたクルマだから文句を言ったらバチが当たりそうだったけど、しばらくして思ったのは「やっぱオーディオがないのはツライや」ということだ。
いや、正確に言えばオーディオでなくラジオがなくてツラかった。今みたいにスマホで確認なんてできなかったから、渋滞情報を得るにはラジオが必要だったんだけど、それが付いてなかったわけ。
そこで、普通だったら安い1DINのオーディオでも入れるんだろうけど、運転しながら音楽聴きたいわけじゃないし、そんなところにムダ金を使ってる場合でないとオレは判断。
交通情報さえ聞ければよかったから、ウチに転がってた電池で使える赤い筐体でスピーカー一体型のナショナル製ポケットAMラジオをクルマに常備するようになったのは、それからまもなくのことだ。
とくにトラブルもなく快調に走っていたR31だけど、乗り始めて半年くらい経った頃だったろうか。都内のデザイン事務所に立ち寄るため、路肩の白線パーキングにクルマを停めようと縦列駐車をしてる時だった。「バツン!」という音とともに、ステアリングが急激に重くなった。
「あ、パワステベルトが切れた…」
ボンネットを開けると、思った通りベルトがご臨終になっていた(泣)。
もともとパワステが付いてないクルマなら、操舵力が重いといってもたかが知れている。始めからそういう設計なんだから。
ところが、パワステ付きなのにアシストが効かなくなると、それこそ「おりゃぁぁぁ~」と声を出しながら気合を入れて回さないとダメなくらい、マジで重い。それでも走っていればなんとかステアリング操作はできたけど、クルマを停めるのに何度も切り返しをしなければならない状況は、まさに地獄だった…。
そんなんで、翌日には日産ディーラーに行ってパーツを注文し、すぐにパワステベルトを交換したことは言うまでもない。
それからしばらくすると、今度はエンジンがバラバラ言いだした。なんかレスポンスもおかしいし、1気筒失火してるような症状。
知り合いのショップに電話して話を聞いてみると、「RB20でしょ。それ、たぶんパワトラがイッたね。熱でヤラレちゃうんだよ」とのこと。
はぁ~今度はパワトラ交換かよ…と思っていたら、「中古品でよければウチにあるから、店まで来てくれれば交換するよ!」ってんで、そのショップへGO。
交換すると、おおっ! ちゃんとアイドリングするし、バラバラ言わなくなったし、吹け上がり&レスポンスも問題なく、無事に復活だ!! よかったよかった。
そんなマイナートラブルを乗り越えて順調に距離を伸ばしていたR31。振動がデカく荒々しいDR30のFJ20ETとは違って、気持ちよく吹け上がってくれるRB20DETのフィーリングはキライじゃなかった。
直線基調の外装デザインもそうだし、ラグジュアリー方向に振られた内装だって、80年代ニッサン車の特徴である“絶壁インパネ”を含めて、「悪くないな」というのが率直な感想だ。
当時は娘と息子がまだ小学校に上がる前だったから、家族4人で乗るにも不便はまったく感じなかったし、トランクルーム容量も十分に実用的で、そこに荷物をポンポン放り込んで群馬の実家に帰ることもできた。
つまり、5ナンバーサイズの2ドアクーペとして、R31はなかなか秀逸なパッケージングだったと思う。もっとも、今ほど衝突安全性が求められてなかった頃のクルマだから…という時代的背景が大きく影響してるんだろうけどね。
ところが、年が明けて2001年の春先だったと記憶してるけど、エアコンが効かない! という緊急事態が発生(汗)。雨の日に東名高速を走ってて、「なんかムシムシするし、やけに窓も曇るなぁ」と思ったら、その時すでにエアコンが効いてなかったってわけ。
夏場じゃないから暑さをしのぐという意味で、とりあえずはエアコンがなくてもなんとかなったけど、そのままにしとくわけにはいかないんで近所のクルマ屋さんに修理の見積もりを依頼。
すると、「コンプレッサーからエバポまで交換しなくちゃならないから、はい、20万円ね」みたいな金額が出てきたんで「マジかよ…」と。
それと、渋滞にハマると純正水温計の針がガンガン上がってくるようにもなったんで、ラジエターとかヘッドガスケットとかに問題を抱えてる疑いも出てきた。
う~ん、気に入って乗ってたR31だから、あるていどのカネを突っ込んででも乗り続けようと思ってたところ、取材で試乗した峠仕様のEK10マーチスーパーターボの面白さに開眼してしまったオレ(笑)。
ヤフオクをのぞいてみると、ヒトケタ万円で常に5~6台が出品されてる、今ではとても考えられないような状況だった。
よし、決めた!
R31を売ってEK10を買おう!!
えーっとEK10が5万円で買えるんだから、R31は6万円くらいで売れればいいや。エアコンが壊れてるし、オーバーヒートの兆候も出てるし。
…と、希望落札価格6万円で出品したところ、ソッコーで落札されたR31。
岡山に住んでるひとが、大阪まで出張に行くから、そのついでに東京まで引き取りに来るという。いやいや、岡山~大阪よりも大阪~東京の方がはるかに距離があるんだから、それ、世の中的にはついでとは言わないよ(笑)。
で、受け渡し当日、夜11時くらいに東京駅までR31を乗って行って、岡山から来た落札者にR31を渡して、はい、さようなら。ちょっと後ろ髪を引かれる思いだったけど、その時のオレはEK10がある生活への期待の方が大きくて、R31に未練タラタラ…という気持ちではなかった。
結局4台購入することになるEK10マーチスーパーターボの話はまた別の機会にするとして、R31を手放してから半年後、OPTION2編集部に在籍してた頃、岐阜は坂祝の『R31ハウス』へと取材に行く機会が初めて訪れた。
取材をおえ、柴田てんちょを相手に雑談してる時、「実は半年前までR31に乗ってたんですよ~。ちょっと変わったボディ色だったんですけどね」なんて口にした瞬間、「どれ乗ってたの?」と、およそすべてだろうと思われるR31のカタログがズラッと目の前に広げられた。
「あ、乗ってたのコレです!」
それは2ドアクーペのGTSツインカム24Vターボをベースにした限定1000台のモデル、『NISMO』だったということを、その時オレは初めて知ることになる。
専用ボディ色にリヤスポイラー、GTS-Rと同じセミバケットシート(運転席はBNR32純正に交換されてたから、助手席だけだったけど)を標準装備。エンジンは素のGTSツインカム24Vターボと同じだったけど、限定モデルってことで当時、中古車市場でもそこそこレアだったらしい。
「で、いくらで売ったの?」と柴田てんちょ。
「エアコンがブッ壊れてたんで6万円。ヤフオクで」とオレ。
「それはもったいないことしたねぇ。今、60~70万円で取り引きされてるのに」
えええええ!?
あのR31、そんなに価値あったの?
エアコンが壊れてたにしても、相場の半額…30~35万円くらいで売り抜けられたんじゃないか? という話だ。
いやはや、無知ってのは時としてソンをするということを痛感した(笑)。
そんな話を聞いて、「R31を安く売りすぎてしまった…」という悔しい思いが多少込み上げてきたにせよ、その時点ですっかりEK10にハマってたから、まぁ笑い話で済ませられたのがオレ的には幸いだったかもしれない。
なわけで、次回は『技術の日産』がバブル期に放ったツインチャージドエンジン搭載のリトルモンスター、EK10の話でもしようかな。
R30&R31 Magazine [オレたちのスカイライン]
R30とR31スカイラインに特化したスペシャルムック。
西部警察RS-1/2/3からスーパーシルエット、グループAマシンはもちろん、希少な限定モデルを試乗インプレ付きで紹介!
R30&R31ファン必携の1冊だ。