REPORT◎吉岡卓朗(YOSHIOKA Takuro) PHOTO◎日本ミシュランタイヤ
日本ミシュランタイヤの開発スタッフの話によれば、近年ハイブリッドモデルなどの電動化されたモデルの増加に伴い、タイヤに求められる性能が変わってきたという。すなわち生半可な静粛性では顧客は満足しないというのだ。ミシュランの最新版プレミアムコンフォートタイヤ、プライマシー4ももちろんそのあたりに重きを置いて開発が進めら、約6%の静粛性向上を得たという。
しかし高級車に相応しい静粛性だけ追求しても、まだ足らないという。顧客の期待は具体的に言うと高いウエットグリップや、低燃費性能にも及ぶ。今回デビューしたプライマシー4ではそのふたつの性能もさらに高めたというのが売りだ。
たしかに最近のタイヤ開発競争は過熱する燃費性能競争のために、特にウエット性能がないがしろにされてきた面がある。つまり低転がり抵抗性能を重視して開発されたタイヤは、トレードオフの関係となるウエット性能が相対的に低くなる。その結果、特にゲリラ豪雨などの近年の環境変化もあって、経済性よりも安全性というドライバーを結果的に増やしたかもしれない。
今回のテストコース試乗では新旧タイヤを直接比較できたのだが、ウエット直線路で80km/hから10km/hまでのフルブレーキをGPSロガーで計測してみると、先代よりも減速Gが出ており、メーカーが謳う制動距離約4.5%短縮がたしかに実現できていた。
今や新車の約5割とも言われるハイブリッドモデルなどの電動車は、低速域でエンジンが停止していることもあって、高い静粛性が求められる。それと当時に燃費を追求したクルマ故に、タイヤにも当然高い燃費性能が期待される。新型の静粛性は冒頭書いたように先代よりも約6%向上したという。たしかに高速周回路を60〜100km/hで走行しても直進時のノイズはもちろん、ステアした際のシャーという音も静かだった。
燃費は小間切れのテストコース試乗では確かめられなかったが、ラベリング制度による転がり抵抗は36サイズ中16サイズで上から2番目の「AA」グレーディングを取得している。ちなみにウエットグリップは19サイズで最高の「a」を取得しているという。
唯一の懸念は36あるサイズラインナップは19インチは1サイズのみで16〜18インチが主流となっていたこと。プレミアムを謳うのなら、ぜひ20インチまでしっかりラインナップし、19インチも拡充することを期待したいところだ。