アナリストによれば2020年には、世界で240億のIoT機器を搭載した2億台以上のコネクテッドカーが道路を走ると予想されている。コネクテッドな、自律的で、シェアリング型の電気自動車がますます一般的になる中、ドライバーと同乗者はクルマとの対話の進化を期待している。ニュアンスの会話型AI技術は、クラウドサービスと組込みシステムとのコンビネーションで進化をリード、エレガントに統合されたインテリジェントで直感的なユーザーエクスペリエンスをもたらす。MBUXの特徴は下記の通り。
1. 真の会話インタフェース
ボタンを押す代わりにウェイクアップワードで起動する最初の車載システムの一つ。「ハロー、メルセデス」というシンプルな言葉に応える。自然言語理解と自然言語生成機能により、ドライバーと同乗者は誰かに質問し、要求を満たすようにMBUXと自然に会話することができる。
例えば、ドライバーが「明日は、サンダルを履いて出かけられますか?」と尋ねると、MBUXは天気予報を照会し、「はい、明日の天気は晴れの予報です」と返答。もし、ドライバーが「ここは暑すぎる」と言えば、MBUXは車内の気温を下げる。このように、MBUXは従来のワンパターンなフレーズでの回答ではなく、自然に自在な応答を行う。
2. 指示対象を記憶して連続した会話を実現
MBUXの自然言語理解は、ドライバーが以前に言ったことを参照し、人間がそうであるように、過去に言われたことへの言及を理解するようにデザインされている。
例えば、あるユーザーは「ジョンにメッセージを送信してください」と言った後に、「マリアにも送信してください」と言うかもしれない。あるいは、「ロンドンの天気はどうですか?」と聞いた後に、「マンチェスターは?」と訊ねるかもしれない。MBUXはこの種の会話をフォローし、様々な要求に応えるインテリジェント機能を有している。
3.ハイブリッドで適応力のあるシステム
車載に組込まれた機能であってもクラウドを介し、無線ネットワーク(OTA)による更新ができるように、柔軟な構造で設計されている。ソフトウェアモデルは、時間の経過とともに新しい単語や言語の使用が豊富になるため、新しいドメイン(例えば、シーズンスポーツイベントなど)、バーチャル・アシスタントやサービスを追加することで、いつでもドライバーが利用できる情報の範囲を拡大し、クルマは常に最先端の機能を備えている。さらにクルマと深く統合されたアシスタント機能により、車内の温度調節や音楽、あるいはシート温度調整やマッサージなどの機能を音声で制御することができる。
ダイムラーのデジタルビークル&モビリティ部門のバイスプレジデントであるサジャド・カーン氏(Sajjad Khan)は次のように述べている。「MBUXとともに、私たちは、クルマがモバイルアシスタントになる転換期に一歩近づいています。メルセデス・ベンツのドライバーに新たなエクスペリエンスを生み出すために、私たちが実装する新技術は、シームレスかつシンプルなクルマとの対話を実現するというゴールのもと、ユーザーを第一に考えなければなりません。それが長年のパートナーであるニュアンスと密に連携している理由であり、差別化を図る上で車内エクスペリエンスの構築にニュアンスの直感的で自然な音声と言語のソリューションが必要不可欠なのです」
また、ニュアンスのエクゼクティブ・バイスプレジデント、ステファン・オルトマン氏(Stefan Ortmanns)は次のように説明する。「デジタル化の進展とコネクテッドカーは、IoTによるエコシステム形成の不可欠な要素となってきています。今日のコネクテッドワールドにおいて、ユーザーは、コンテンツとサービスへのシンプルで高度にパーソナライズされたアクセスを求めており、車内のアシスタント機能も例外ではありません。私たちはAIで強化されたオートモーティブアシスタントの新潮流の最先端システムであるMBUXの開発において、ダイムラーと協業できたことを誇りに思います」
Dragon Driveによって実現したMBUXは、イギリス英語、アメリカ英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、メキシコスペイン語、中国語、日本語、韓国語など23か国語に対応。MBUXは、2018年5月より欧州で出荷が開始された新型Aクラスに最初に搭載される。