熱交換器自体の性能を高めたいなら、サイズを大きくして表面積を増やしたり冷媒の流量を増やしたりといった手段が考えられる。しかしいずれにも頼らない方法がカルソニックカンセイから提案されている。

 示されていたのは、V字ディンプルによって冷媒側の流れに渦をつくり、境界層を壊すことで熱伝達率を上げる試み。水側の熱伝達率を上げる手段としてはインナーフィンもあったが、抵抗が大きくなってしまう弱みがあった。ディンプルによって、抵抗は上げずに性能を上げることが可能になった。




 チューブの内側にディンプルの凸部を設ける。上面/下面双方に備える仕様がスライドで示されていたが「流速などの要件から、いろいろあります」とのこと。詳しくは聞き出せなかったのだが、同様にディンプルの高さやピッチもいろいろ設定可能。ディンプルの方向も、位相だったり同相だったり、渦の出来方を最良にするためにさまざまなやり方が考案されているようだ。




 写真に示すのは水冷式インタークーラに用いた例。冷却水側にV字ディンプル構造のチューブを採用している。水冷ICは冷媒を電動ウォーターポンプで循環させるだけに流量が非常に小さく、すると層流が生じて熱交換の効率が下がってしまう課題があった。ラジエータやEGRクーラにも展開を検討中。本構造によって効率の回復を狙う。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 冷却のプロフェッショナルによる新提案 [人とくるまのテクノロジー展2018横浜]