さて、本稿の主役である右側のシート。形状は一瞥した限りまったく同じに見えるが、テーラードブランク材を用いてさらなる軽量化に努めているのが特長だ。適用部位は座面のサイドフレーム、および背面のサイドフレーム。座面においては、強度が求められるところは従来品と同じ板厚(t=1.4)ながら、大きな応力を受けない中間部に薄板(t=1.0)を、背面は同じく1.0/0.8を用いて接いでいる。
一般に、接いでいるところは弱くなりがちだ。訊いてみたところ、厳密にいえば接合部周辺には一部弱くなるところも生じるが、基本的には損壊時には母材部が破壊されるくらいまで強度は確保できているという。もちろん、接合方法には連続溶接を用いるとともに溶接長も斜めに長くとる工夫が盛り込まれている。これらにより、従来品比(軽量薄型フレーム比)で15%の軽量化を実現している。