その上、シェフラーの48Vハイブリッドモジュールは加速と省燃費セーリングをアシスト。つまり、車両は自由に内燃機関を停止し、ドライブトレインから切り離して走ることができる。内蔵型の自動化クラッチによれば、エンジンが始動後に素早く回転数を上げられるようにすることで、車両が再発進する際でも優れた乗り心地を確保できる。さらに、シェフラーのP2モジュールは、費用対効果の高い形でマニュアルトランスミッションをハイブリッド化できる。
シェフラーは、3気筒エンジンで気筒休止を行うスイッチャブルローラーフィンガーフォロワーを開発した。今後、フォードの量産車両に搭載される予定。
加えて、ローリング気筒休止を備えたテストエンジンによる試験も実施した。この設計では、停止するシリンダーを絶えず変更する。つまり、通常動作での4行程後、シリンダーはもう一回4行程を繰り返すのをスキップする。プロトタイプは、吸気側にフル可変バルブトレインシステムUniAir、排気側に切り替え式バルブトレイン部品を備えたことで、充填サイクルでの損失を低減することもできる。シェフラーシンポジウムで初披露された。サイクル次第では、静的な休止と比べてさらに2%の燃料消費率を抑えることが可能なことが分かる。
<遠心振り子式アブソーバー>
トランスミッションの効率向上を目指す技術もまた、重要な役目を担う。
例を挙げると、遠心振り子式アブソーバーは、パワートレイン内のねじり振動を減衰するという点で非常に効果的だが、アクティブセーリングのトレンドには、従来の遠心振り子式アブソーバーがもはや機能しないため、シェフラーは、ダンパーがばねによって円周方向で互いに支持し合う新しい連成振り子を開発した。さらに、シェフラーは特に低摩擦のトランスミッションの軸受向けに、「アンギュラローラーユニット(ARU)」と呼ばれる新設計も開発。これは、円すいころ軸受とは異なって軸力を2方向で吸収できるため、固定側/自由側軸受どちらとしても利用できる。この配置は低摩擦を特徴とし、それによって従来のパワートレインの効率を向上させる。
<DH-ST 6+2>
プラグインハイブリッド車の市場シェア拡大を受けて、自動車メーカーはトランスミッションの設計を見直している。シェフラーは、「ハイブリッド切り替え専用トランスミッション」という革命的なコンセプトを、今回のシンポジウムで初めて発表した。また、「DH-ST 6+2」と220kWのシステムパフォーマンスによってスポーティな走りでのパフォーマンスが可能になるだけでなく、100kmあたり約4.5lというWLTCで極めて低い燃費も達成できることが分かっている。
シェフラーは、2011年にフロントアクスルとリアアクスルに2つの電動アクスル駆動を搭載したコンセプト車両を発表しているが、これはアクスルの車輪間でトルクを有効に配分することもできるものだった。今回のシンポジウムで発表した最新バージョンでは、電動ドライブの分野で進歩が見られる。90kgのアクスル駆動が可能な最大性能は2010年代の初めは60kWだったが、最新世代では145kwに到達し、しかも10kg軽量化している。
「Schaeffler Mover」はロボタクシーや都市交通車両向けの技術プラットフォーム。電動ホイールハブ駆動、90度のステアリングシステム、およびモジュラー設計により、このコンパクトで柔軟性があり、かつ自由に拡張可能なプラットフォームは、都市部で利用するさまざまなモビリティソリューションに幅広く適応する。シェフラーは完全自律走行を目指して設計されたこの車両に搭載する、駆動ユニットとシャーシ部品を統合した小型のホイールモジュール「インテリジェント・コーナーモジュール」を開発した。これにより、優れた車両操縦性を確保するとともに、運転手や同乗者に高いレベルの乗り心地を提供できる。