STマイクロエレクトロニクスは、高い安定性を特徴とし、10年間の長期製造保証プログラムの対象となるMEMSセンサを発表した。これにより、先進的な自動化システムや産業用IoTを加速させる取り組みをさらに拡張していく。

 2018年にリリースされる新しいMEMSセンサの内、3軸加速度センサのIIS3DHHCが最初に入手可能になる。同製品は、高い測定分解能と安定性を備え、広範な温度範囲において長期にわたり精度を維持することが可能。また、同製品は通信システム用アンテナの位置決め機構や、ビルや橋などの安全性を監視する構造ヘルス・モニタリング(Structual Health Monitoring)装置、安定器や水準器など、幅広い産業用プラットフォームで使用される高精度の傾斜計に利用可能。そのほか、精度と堅牢性を長期間維持できるため、高感度の傾きセンサやセキュリティ用センサに加え、ハイエンドのデジタル・カメラの手ブレ補正機能にも最適だ。




 STの10年間の長期製造保証は、産業機器に使用される高性能な製品に幅広く適用され、長期にわたる製品製造を保証する。そのため、メーカー各社の製品の長寿命化や、厳しい環境下における動作期間の延長に役立つ。この長期製造保証プログラムは、産業用MEMSセンサに加え、STM32マイクロコントローラ、モータ・ドライバ、アナログIC、パワー・コンバータ、LED用ICのほか、既存のMEMSセンサにも適用され、最低10年間の製造を保証する。




 STのグループ・バイスプレジデント 兼 MEMSセンサ事業部ジェネラル・マネージャであるAndrea Onetti氏は、次のようにコメントしている。




「これらの高品質な産業用センサは、MEMS設計および高い歩留りのMEMS量産プロセスに対する当社の投資が生かされており、非常に高い精度、再現性、および堅牢性が不可欠な用途において、高性能かつ低運用コストを実現します。当社は、今後数ヶ月以内に、産業用アプリケーションに向けて、複合センサ、特定用途向けセンサ、および慣性モジュールなど、10年間の長期製造保証プログラムを適用した新しい高精度センサを追加していく予定です」




 IIS3DHHCは現在量産中で、セラミック製の高品質LGAパッケージ(5 x 5 x 1.7mm、16リード)で提供される。単価は、1000個購入時に約4.50ドル。




 IIS3DHHCは、加速度の検出範囲が±2.5gの3軸加速度センサで、先進的なセキュリティ用センサなどに使用される高精度の位置決め機構や、微小な動きの検出に最適。同製品が通常のコンスーマ向け加速度センサと大きく異なる点は、45μg/√Hz(Hzの平方根当たりマイクロG)の超低ノイズにより実現した非常に優れた分解能だ。




 さらに、高い安定性を備えている同製品は、広範な温度変化に対して、センサ特性のドリフトを長期にわたり最小限に抑える。感度変化は-40℃〜+85℃で0.7%未満に抑えられ、オフセット・ドリフトは0.4mg/℃未満。これにより、寒暖差のある屋外を含む多様な環境や、産業用機器、産業用ロボットやドローンでの使用において、最小限の較正で安定した機器性能を実現できる。




 また、IIS3DHHCには、A/Dコンバータのほか、FIFOによるデータ保存や割込み制御といったデジタル回路が集積されている。これにより、外付けの変換部品が不要になるとともに、電力制御を簡略化できることで消費電力を削減し、バッテリ駆動機器の駆動時間を延長できる。




詳細は、以下のウェブサイトを参照。


http://www.st.com/content/st_com/en/support/resources/product-longevity.html

情報提供元: MotorFan
記事名:「 STマイクロエレクトロニクス :10年間の長期製造保証付きの新しい高精度MEMSセンサを発表