「市場への浸透度という点では、現在のところドイツ、イギリス、米国が市場をけん引しており、三か国合計の2017年における接続機能搭載車の出荷数は最も多い。欧州のeCall義務化によって市場が動き、欧州内の他の国でも普及が進むだろう。さらに欧州がeCallを採用したことがコネクテッドカーのエコシステムにおける触媒の働きをし、ほかの地域へも波及するだろう」
自動車各社のパフォーマンスについて、HanishBhatia氏はさらに以下のように付け加えた。
「ゼネラルモーターズ (GM) は出荷台数の面で市場をリードしており、それにBMW、アウディ、メルセデスベンツの順で続いている。GMのOnStar、BMWのConnectedDrive、あるいはアウディのAudiConnectといったコネクテッドカーのためのプラットフォームは、多様なサービスを提供することで、新たな収益源を創り出すとともに消費者と繋がるうえでのこれまでのギャップを解消しつつある。これらの会社を合わせると、2017年に販売された接続機能搭載の乗用車の90%を占める。また、常に話題となる米国の自動車メーカーTeslaも製品ラインナップ全体で接続機能を提供している」
ネットワーク接続のための技術について、CounterpointResearch社のリサーチ・ディレクターNeilShah氏は以下のように述べた。
「現在のところ市場の製品は2G/3Gのモバイルネットワークが主流である。しかし、4GLTEへの移行が急速に進んでいる為、2022年までに接続機能搭載の乗用車の90%が4GLTEを使うだろうと予測される。さらに5Gによる接続も2020年から採用が始まるが、その採用は2022年までは少ない見通しだ。自動運転のレベルが上がるにつれ、4Gや5Gの技術を車に搭載することが、現在も、5Gが普及する2022年以降も、ますます重要になるだろう。また、5GNR(スタンドアローン、SA)モードによる低遅延は、次の十年において自動運転車の市場が変曲点を迎えるうえでの重要技術となるだろう」
マーケットハイライト:
• 世界のコネクテッドカー市場は2022年までに270%成長し、2018年から2022年までにネットワーク接続機能を搭載して出荷される乗用車は1.25億台を超えると予測される。
• 2017年現在、中国と米国が出荷の45%を占め、中国だけで32%におよぶ。これは中国の乗用車市場が極めて大きいためである。
• 欧州では、eCall義務化による早期導入の効果もあり、経済大国であるドイツ、イギリス、フランスなどにおいては2020年までにコネクテッドカーがほぼ100%になると予想される。
• 大手自動車メーカーの中ではゼネラルモーターズが市場をリードしており世界各地でOnStarプラットフォームによって接続サービスを提供している。
• GMに続いて、高級自動車メーカーであるBMW、アウディ、メルセデスベンツも市場をリードしている。これらの自動車ブランド合計で2017年の接続機能搭載乗用車の出荷の90%を占めている。
• 日本の自動車メーカーはセルラー接続(携帯通信を用いた接続)の搭載では成長曲線に乗り遅れているが、量産規模があるので今後の成長は早いだろう。
• 接続に使用する技術では、いまだ2G/2.5Gが主流であるが、2017年から3Gも使われるようになった。
• しかし、4Gが次第に勢いづいて、世界市場の90%の接続を占めるようになる可能性が高い。5Gについては日本と韓国が市場のけん引役となる可能性がある。
Counterpoint社IoTマーケットトラッカーのコネクテッドカー関連に関する調査は、各社のIR情報に基づく出荷台数推計、販売店での裏付けも含めた各自動車メーカーへの聞き取り、部品メーカーの調査、および各種二次調査に基づいている。より詳細な「世界のコネクテッドカー2018」レポートは、 report.counterpointinsights.comより購入できる。同社の最新の調査、分析、プレスリリースに関するお問い合わせは、press@counterpointresearch.com まで。