REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
そのイメージは完全に刷新!
久しぶりの人馬一体感。
これは素晴らしく良い! そして何よりも熱くさせてくれる! 実にエモーショナルだ。
ブレーキの効きも申し分ない。従来のスチールディスクとはいえ、さすがはフロント400mm、リヤに360mmのローターを備えているだけのことはある。ガツン!と踏めば見事に応えてくれるから遠慮なしに攻め込んでいける。コーナー手前でブレーキング、そしてアクセルをオンにして一気にターンを決めると、もはや快感に近いものが得られた。しかもリヤの流れ出しが分かりやすく、ニュートラルな姿勢に持ち込みやすい。これはまさにFR車ならではの歓びだろう。タイヤのグリップ感がリアルに伝わることもあって面白いようにペースが上がっていく。
それに今回、アストンマーティンがヴァンテージをデザインするうえでこだわったという、エアロダイナミクスの効果も確実に得られる。高速時におけるこの安定感は、2シーターのFRスポーツカーとしては稀なほどだ。まさに路面に這いつくばるように突進するから安心感まで伴う。そのうえ、車速感応型の電動パワーステアリングのフィーリングも優れているどころか、狙ったラインをトレースしやすいよう正確な舵角で楽しませてくれる。
しかも、アストンマーティンとしては初めて搭載した、Eデフ(エレクトリック・リヤ・デファレンシャル)が功を奏しているのも確かだ。すでにフェラーリなどでその効果の優位性を体感してきたとはいえ、FR車でダイナミックにドライブするにも信頼性があって実に頼もしく、滑り出しをスムーズにし、コントローラブルに制御するその完成度に感銘を受けてしまった。
硬派な走りに隠された ”謎”と”期待”……。
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【SPECIFICATIONS】
アストンマーティン ヴァンテージ
■ボディサイズ:全長4465×全幅1942×全高1273㎜ ホイールベース:2704㎜ ■車両重量:1530㎏(軽量オプション装着車) ■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:3982cc 最高出力:375kW(510ps)/6000rpm 最大トルク:685Nm/2000〜5000rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:RWD ■ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式) ■サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク ■ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20 ■環境性能(EU複合) CO2排出量:245g/km 燃料消費料:10.5ℓ/100km ■パフォーマンス 最高速度:314km/h 0→100km/h加速:3.6秒
【予告】この「新型アストンマーティン・ヴァンテージ」に試乗した著名なジャーナリスト3名によるレポートをこの後から連載する予定(不定期)。乞うご期待!