REPORT◎野口 優(Masaru Noguchi)
PHOTO◎小林邦寿(Kunihisa Kobayashi)
今や定番とも言えるSUV。そのほとんどのモデルがスポーツSUVと“決め台詞”のように謳われているが、本当の意味で“スポーツ”なのか疑問が残るSUVは少なくない。その点、スポーツカーメーカーが造るSUVとなれば説得力が増すのだが、これも最近では微妙になりつつあって、多くのメーカーが本格的なスポーツカーをラインナップするようになってしまったから、何が本当のスポーツなのか、よく分からなくなってしまっている。
しかし、ポルシェは違う。生粋のスポーツカーメーカーというプライドがあるだけに、例えSUVであっても手を抜いたりはしない。それを再考する意味でも、今回「カマンS」を連れ出し、敢えてウインターテストを決行した。その理由は、熟成度を確かめるため。かねてからポルシェは、年を追うごとに“しれっと”細部に手を入れてくることで知られるメーカーだ。この末っ子SUVでもそうした傾向が見られるのか、実感として得たかったのである。
しかも、それを決定づけたのは、目的地に到着し、とあるクローズドコースで全開走行を試した時だった。スポーツモードのまま、ESCを切って攻め始めると、以前にも増してコントローラブルに感じる。PTM(ポルシェ・トラクション・マネージメントシステム)による制御は見事で、前後トルク配分を状況に応じて変化させるうえ、電動パワーステアリングも舵角を最適化するとあって、完全に乗り手が何をしたいのかを読みとって完全制御しているのが明らかとなった。
だから、こうして大きくスライドさせても狙った方向に素直に向いていく。しかもアクセルコントロールに対する応え方も完璧だ。足まわりの動きも良いから派手なアクションを試してみても確実にドライバーの意図通りに進んでいく。さすがはポルシェ!と思わず叫びたくなったくらいである。
【SPECIFICATIONS】【関連動画】ポルシェ マカンGTS &マカン再考。【メイキング映像】マカンS in 秋田「レポーターとカメラマンの裏映像」
ポルシェ マカンS
■ボディサイズ:全長4699×全幅1923×全高1624㎜ ホイールベース:2810㎜ ■車両重量:1865㎏ ■エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ 総排気量:2997cc 圧縮比:9.8 最高出力:250kW(340ps)/5500〜6500rpm 最大トルク:460Nm(46.9㎏m)/1450〜5000rpm ■トランスミッション:7速DCT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:前5アームウイッシュボーン 後トラベゾイダルウイッシュボーン ■ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):前235/60R18(8J)後255/55R18(9J)■パフォーマンス 最高速度:254km/h 0→100㎞/h加速:5.4秒 ■環境性能(EUモード) CO2排出量:212〜207g/㎞ 燃料消費率:9.0〜8.8★/km ■車両本体価格:841万円(税込)