そう、新型ポロのキーワードは、ズバリ「MQB」なのである。
MQBは、VWグループの新世代プラットフォームの呼称で、ゴルフからパサート、フラッグシップサルーンのアルテオンに採用されてきた。開発モデルに合わせて全長や車幅、ホイールベースなどをフレキシブルに決定することができるため、設計の自由度が増すだけでなく「上級モデル譲りの品質、乗り味を実現できる」(シェア社長)という。 参考までに、このMQBはドイツ語では“Modularer Querbaukasten”と表し、英語に訳すと“Modular Transverse Matrix”となる。
新型ポロは居住性を高めるため、先代モデルよりもボディサイズがひとまわり大きくなり、ポロ初の「3ナンバーモデル」となった。 具体的な数字で比べてみると、全長が+65mm(4060mm)、全幅が+65mm(1750mm)、ホイールベースが+80mm(2550mm)となっている。これらのサイズ拡大に対し、全高は10mm低くなり、これにデザインによる視覚的な効果とMQBの自由度が加わることで、ワイド&ローのスタイリッシュなプロポーションを得たのだ。 発表会の会場では、身長が190cmというドイツ人の進行役MCが新型ポロの運転席のシートを合わせたあと、そのまま運転席の後ろに乗り込み、足元や頭上のスペースが充分にあることをアピール。さらにリヤシートには折りたたみ式自転車を積載し、新型ポロのパッケージングの美点を紹介した。トランクスペースは、先代モデル比で+71Lの351Lまで拡大されているのだが、これもMQBだから実現したスペースなのだ。
さらに、MQBは先進安全装備を上級モデルから譲り受けることが可能であるため、歩行者検知対応のプリクラッシュブレーキシステムをはじめ、万が一の事故の際に歩行者への衝撃を緩和するアクティブボンネットなどを標準装備するに至った。 さて、新型ポロのラインナップは、「TSIトレンドライン」209万8000円、「TSIコンフォートライン」229万9000円、「TSIハイライン」265万円という3グレードを展開し、すべてのモデルが新開発の1.0L 3気筒エンジンに7速DCTを組み合わせる。先代モデルに搭載していた1.2Lエンジンよりも排気量が小さいが、95ps・175Nmというパワフルな性能を発揮するのだ。
「我々が掲げている“Road to 2020”は新車攻勢をかけること。昨年はティグアン、up!、ビッグマイナーチェンジしたゴルフ、アルテオン、そしてeゴルフを日本市場に投入した。今年はパサートのTDIモデル導入に続いて、新型ポロを発表した。さらに年内には、GTIシリーズとTDIモデルの拡充を予定している。こうした攻勢により、日本における輸入車好調の波に乗りたい」とティム社長は熱く語った。 ちなみに、ポロの3ナンバー化は、当初販売の現場でも否定的にとらえられていたというが、実際の顧客からのリクエストは「もっと広くしてほしい」というものだったという。その結果、3月に予約の受付を開始したところ、すでに1000台を越えるオーダーを受け好調なスタートを切ったたという。 これに対し、シェア社長は「これまでのポロを上回る、勢いを感じる」と語っている。