Hacobuは、2018年2月26日、クラウドベースの物流情報プラットフォームMOVO(ムーボ)上で、物流拠点への納品車両・納品バース情報を一元管理するソリューションを開発・提供開始した。物流拠点における時間ごとの納品物量の平準化により、トラック待機時間を抜本的に削減する事を目指す。同社の具体的なソリューション・構想に対して、日本トップクラスの大手流通事業者が賛同、一部導入を開始した。Hacobuはトラックバース管理という目に見える課題への取り組みをきっかけとして、物流情報のデジタル化と社会全体での物流資産の効率活用に向けて、物流情報プラットフォームへの参加事業者を、業界の枠を超えて拡大していく。

Hacobuは「運ぶを最適化する」をミッションとして企業間物流の最適化を目指し、IoTとクラウドを統合した物流情報統合プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」を提供する会社。輸配送の課題をテクノロジーを活用して解決することを目指し、これまで配送受発注のオンライン化、オンライン求車サービス、トラックの動態管理、温度管理、等の機能モジュールをMOVO上で展開してきた。直近は、MOVOの新しい機能モジュールとして、納品車両・納品バース情報管理ソリューションの開発を進めてきた。




社会課題化するトラック待機問題


これまで、輸配送という「線」が結節する「点」である物流拠点において、トラックが早い者勝ちでランダムに到着し、結果として周辺でのトラックの滞留が起こっていた。その結果、数時間に及ぶ待機が常態化し、輸配送ネットワークの非効率性、ドライバーの長時間労働や周辺住民・交通への悪影響の原因となっていた。それを背景に、国土交通省が2017年5月、荷待ち等の実態を把握し、そのデータを元にトラック事業者と荷主の協力による改善への取り組みを促進するため、荷待ち時間等の記録を義務付ける省令を交付するなど、社会課題として急速に認識が高まってきた。




今回開発したソリューションの概要


多くの物流拠点で納品時のトラック待機が常態化しているのは、納品車両の動きを適切にコントロール出来ていない点が大きな要因。Hacobuのソリューションは、納品事業者側と受入事業者側の協力関係をベースに、納品車両情報の事前共有および納品予定バースの自動割当から、納品当日における物流拠点側での受付・誘導業務までを一貫してオンラインで提供する。必要な機能をピックアップして、クラウドベースで利用でき、一物流拠点あたり最低月額2万円から導入できる。




具体的には、下記の様なプロセスをオンラインでサポートする(https://movo.co.jp/)。




(1)納品事業者側(メーカーもしくはメーカー委託物流事業者)から、納品トラック情報(車格、荷姿を含む)、納品時間希望枠をオンラインで登録


(2)入荷受入側(物流拠点)において、バース自動割当システムによる入荷スケジュール作成を行い(オプション機能)、オペレーターによる調整を加えて、納品事業者側に割り当て枠を提示する


(3)納品事業者側で運送会社が決定次第、ドライバー、車両情報をオンラインで登録する


(4)ドライバーのスマートフォン(スマホ)/フィーチャーフォン(ガラケー)に、SMSで納品場所、時間が飛ぶ


(5)到着、遅延連絡等をドライバーのスマホ/ガラケーでワンプッシュで行うことができ、状況がリアルタイムで納品事業者側/入荷受入側に伝達される


(6)入荷時点で、受付システム(オプション)にドライバーが登録を行うことで、入退場を登録する。また待機中のドライバーのスマホにSMSで荷卸指示等の誘導を行うことができる




納品車両・納品バース情報管理ソリューションを導入する目的


Hacobuの納品車両・納品バース情報管理ソリューションは、単に現場業務にITを導入して、現場スタッフの業務負荷を減らす効果のみを目指したものではない。最終的には、時間ごとの納品物量の平準化を実現し、トラック待機時間を抜本的に削減することを目指す。現場の状況によっては、事業者主導で行われる発注管理・在庫管理業務の改善といった取り組みとの連携も必要。そのような場合であっても、問題の全体像に常に関心を持ちながら、納品事業者、受入事業者、運送事業社、各種ITベンダーといった様々なステークホルダーと協力し、サプライチェーン最適化の一端を担っていく。




具体的には、車両を手配している納品事業者側と、受入事業者側の双方において、下記の様なメリットを実現していく。


 


(1)待機時間の削減:トラック待機時間削減による追加荷役料金支払リスクの削減、レピュテーションリスクの削減


(2)庫内作業効率の向上:入荷予定が事前に明らかになるので、庫内の入荷受入体制を改善できる。また、受付システムを導入する場合には、ドライバーをバース誘導する際の手間が省ける。


(3)業務の見える化による事務コスト削減:どのトラックがいつ納品する、といった情報がオンラインで当事者間で見えるようになるため、確認の手間を省けたり、ミスを減らすことができる


(4)通信コストの削減:電話/FAXによる入荷予約に比べ、コストを削減




大手流通事業者における一部導入開始


Hacobuのソリューション及びその背後にある構想に賛同し、日本トップクラスの大手流通事業者において、一部導入を開始した。当該事業者の物流拠点において、大手日用品メーカー、大手加工食品メーカー、大手飲料メーカー2社からの委託を受けている各物流事業者が、受入事業者である当該大手流通事業者及びその委託先物流事業者と共に、Hacobuのソリューションを利用する。




今後の開発計画


Hacobuは今後、このソリューションをIoT/機械学習のテクノロジーを使って更に進化させる計画。今回の一部導入からの学びも踏まえて、本格普及に向けた新たなバージョンを今後開発していく予定だ。例えば、既にHacobuが提供しているトラック動態管理のソリューションとの連携や、バース割当システムの更なる高度化等の余地を足元で検討している。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 Hacobu:物流拠点におけるトラック納品時の待機削減を実現する納品車両・納品バース情報管理ソリューションを開発