またセンターコンソール左側の「ダイナミックセレクトスイッチ」で、燃費を優先する「Eco」、快適性を優先する「Comfort」、スポーティな「Sport」、最もダイナミックな「Sport+」、好みの走り・快適性・燃費性能を組み合わせられる「Indivisual」から、スロットルレスポンス、ATのシフトスケジュール、パワーステアリングのアシスト量、電子制御ダンパー「アジリティコントロールサスペンション」の減衰力など、走りの特性を変更することが可能だ。
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だがPHV化に伴い、車重は「E250アバンギャルドスポーツ」より270kg増え、1980kgに達している。これにより、走りは通常のガソリン車に対しどのように変わっているのだろうか? なお、試乗車に装着されていたタイヤは、フロントが245/40R19 98Y、リヤが275/35R19 100Yのピレリ・チントゥラートP7(ランフラット仕様)だった。
PHV化による走りの違いは?
現行Eクラスに設定されているパワートレインは全てターボ化されており、最も低スペックなE200用の2.0L直4直噴ガソリンターボエンジンでも184ps/5500rpm・300Nm/1200-4000rpm。以前試乗した「E200アバンギャルドスポーツ」(車重1700kg)でも、発進から高速巡航まで充分以上の加速性能を備えていた。
それが、車重が2t近いとはいえ、E350eが搭載するモーターの最大トルクは450Nm。E-MODEで発進してもアクセルペダルを力強く踏み込めば、背中をシートバックに押しつけられるほど強烈なダッシュを見せてくれる。
その他のモードで走行し、20km/h付近でエンジンが始動しても、過給圧を高めて211ps/5500rpm・350Nm/1200-4000rpmとした2.0L直4ターボがトルクの細さを感じさせるはずもなく、怒濤の加速をそのまま続けるのだから圧巻だ。ただし、パラレル式ハイブリッドシステムの宿命か、エンジン始動時には速度域を問わずショックを伴うため、完全にシームレスな加速とはいかないのが玉に瑕だ。
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今回の試乗は他のジャーナリストの方との2名乗車で行われたため、幸運にも後席に乗る機会が得られたのだが、いざ走り出すと、それまで抱いていた印象が一変する。特に突き上げが、前席とは比較にならないほど弱いのだ。さらに、さほど大きいとは感じていなかったロードノイズも前席より明らかに少なく、極めて快適に過ごすことができる。
そしてこれは、Eクラスセダン全体に言えることだが、フロントのみならずリヤシートも、見た目以上にクッションが硬くサイドサポートが強いため、コーナリング時にしっかりと身体を支えてくれる。さらに後席は空間設計も見事で、身長174cmの筆者が正しい姿勢で座っても、ヘッドクリアランスは拳1つ、ニークリアランスは拳3つ分のスペースがある。
近年はクーペライクなスタイルを優先して、後席の居住性をおろそかにするセダンが余りにも多い中、Eクラスセダンのこの姿勢は大いに高く評価すべきだろう。さりとてEクラスセダンのスタイルは凡庸に堕しておらず、並のクーペが見劣りするほど流麗かつダイナミックなのだから、最早言うことはない。
Specifications
メルセデス・ベンツE350eアバンギャルドスポーツ(FR・9AT)
全長×全幅×全高:4950×1850×1475mm ホイールベース:2940mm 車両重量:1980kg エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボ 排気量:1991cc ボア×ストローク:83.0×92.0mm 圧縮比:9.8 エンジン最高出力:155kW(211ps)/5500rpm エンジン最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1200-4000rpm モーター最高出力:65kW モーター最大トルク:450Nm(45.9kgm) JC08モード燃費:15.7km/L 車両価格:8,110,000円