研究開発の過程では、日々、さまざまな技術文書が発生している。以前から全社共通で使える文書管理システムはあったものの老朽化が進んでおり、部門単位で独自にシステムを導入するといった動きもあった三菱ガス化学では、文書管理システムの分散で生じるシステム同士の非互換性、管理負担・費用の重複などを懸念しており、また、部門の垣根を越えて技術情報を共有する仕組みが必要であると感じていた。
そこで同社では、文書管理システムの刷新を決定。複数の候補の中から、セキュリティ機能と利便性のバランスを重視し、パナソニックの「Global Doc」を選んだ。また、出張報告書や研究月報などの申請には、同シリーズのワークフロー「Global Flow」を採用した。これにより、文書の起案・承認・管理・共有までひとつのシステムで完結できるようになった。
システムの設計・運用には、研究者目線で考えられたさまざまな工夫が取り込まれており、社内外に対する情報漏えい対策を強化すると同時に、研究者間での快適な情報共有を実現している。
【導入効果】
・100の研究テーマに関する技術文書を一つのシステムに集約。カンパニーの枠を超え全社横断的に技術情報の共有が可能となった。研究者が他分野の知見に触れることで、新たな気づき、研究開発の促進につながることが期待されている。
・フォルダーごとのセキュリティ設定により、部門単位で技術情報の機密性を守ることができる。一方、化学薬品の性質を正しく理解し安全に取り扱うために必要な「SDS(Safety Data Sheet)」などは、全社員が自由に閲覧できる設定にし、情報周知の徹底につなげている。
・ビューワ機能を有効活用することで、利用者・シーンに応じて、閲覧・印刷・ダウンロード機能などを細かく設定し、コントロールできる。たとえば、研究所に紙を持ち込んで仕事をする機会の多い研究者だけに限定して研究月報の印刷を許可するなど、利便性とセキュリティを両立した運用が可能。
・10年以上の長期にわたる研究開発の進捗情報を蓄積でき、タイムスタンプ機能によって研究月報の存在証明・非改ざん証明ができるようになった。
【主な特長】
・文書管理システム「Global Doc」、ワークフローシステム「Global Flow」がシームレスに連携。承認後の文書については、帳票本文と添付ファイルを別々のフォルダーに自動的に分けて保存するといった設定も可能。
・機密性の高い技術文書の管理に必要なセキュリティ機能を装備。また、添付ファイルのPDF自動変換やタイムスタンプ連携機能なども付加でき、技術文書の大容量・長期保管に適している。
・日本の商文化に適した帳票レイアウト・承認経路を設計できる。承認状況を押印で視覚的に示すなど、紙感覚を再現でき、分岐や差し戻しなど細かな経路設定が可能。