つまり観光客だけでなく島民を含めたすべての人に、バッテリーに蓄えた電力を供給することが目的なのだ。電動スクーターにも搭載されるバッテリーは、車載用というよりも「パーソナルモビリティも動かせる、大きなモバイルバッテリー」と捉えれば、活用可能性が一気に拡大することを想像するのはたやすい。
とはいえ、現在のところスタートしているのは、観光客向けのスクーターでの運用のみ。ここでの魅力は、受付カウンターで車両のシェアリング手続きをおこなって借り出せば、あとは島内を自由にツーリングできるという点だ。
多くの日本人は「それならレンタカーのほうがいいんじゃない?」と思うかもしれない。しかしもともと人口とクルマの少ない石垣島にとって、レンタカーの増加は市街エリアでの渋滞発生に直結する問題になりかねない。また排ガスの影響で、島の財産である自然環境が破壊されてしまっては元も子もなくなってしまう。そこで電動スクーターでのツーリングそのものを「楽しい体験」として提供することで、積極的に環境負荷の少ない移動手段を選んでもらおうとしているわけだ。
現在のおもなターゲットユーザーは、クルーズ船で訪れるアジア各国からの観光客。Gogoroの地元台湾をはじめ香港や中国の沿海部に住む人は、もともと電動スクーターや電動自転車に乗り馴れている人も多い。そうした人たちに向けて、バスやレンタカーで観光スポットを巡るだけでは得られない、島のすべてを体感できる移動手段で新しい魅力を感じてもらおうというのが狙いだ。
記者会見には、沖縄ツーリストの東良和会長も参加した。同社が手がけるレンタカー事業にはインバウンド向けのノウハウが豊富にあり、これをe-SHARE石垣に提供するという。同時に国内外の旅行会社へのアプローチも支援すると説明。「石垣の観光アクティビティの魅力向上を手始めに、他の離島や沖縄本島、そして全国にもGogoroが普及していけばと考えている」と東会長。e-SHARE石垣を人材面でサポートする住友商事九州の前田恒明社長も「将来的には、この事業を石垣から沖縄本島、九州に展開することを希望している」と語った。
ちなみに現在はユーザー登録や車両の予約、借り出しなどをスマートフォンでおこなえるアプリを開発中で、これがリリースされた後に島民や仕事で訪れた人など、観光客以外のユーザーにも対応を予定しているとのこと。アプリのリリース予定は5月と発表されている。
住友商事モビリティサービス事業部の緒方剛副部長は、シェアリング事業を通じて「スマートシティ等の次世代のエネルギーサービス構想の実現を目指し、地球環境の共生、地域と産業の振興に貢献していきたい」と展望を語っている。実際すでに石垣島に続く第2の電動スクーター&バッテリーシェアリング事業の実現に向けて、いくつかの都市と話し合いを進めているところだという。