近年、脳梗塞、心筋梗塞などの健康起因や漫然運転(居眠り等)の交通事故が増加し、公共交通の安全性が問われている。
居眠りや、生活習慣病による突発的運転不能状態になるリスクは誰もが持っており、乗務員の健康管理は常にバス業界での重要な課題。WILLER EXPRESSでは、顧客に安心・安全な移動サービスを提供することを最大の使命と考えており、この度、健康起因の事故を削減していく設備を備えた乗務員宿泊棟を新設し、乗務員の健康促進を含めた健康経営に取り組んでいく。さらに、かねてより導入していたIoT活用による運行サポートも安全管理方針の基軸として、より安心・安全な運行を目指していく。
■乗務員宿泊棟概要
所在地 :東京都江東区新木場1 丁目18−13
敷地面積 :約2,000坪
設備:
・カフェテリア・談話室(営業時間:平日8:30~11:00、 12:00~14:30、 17:00~21:00/25席/快眠をテーマにした商品を中心とした健康を応援する飲料自動販売機を設置 提供:キリンビバレッジ株式会社)
・宿泊施設(男性用75室、 女性用4室/3.7畳/ベッド/エアコン/液晶テレビ/ミニ冷蔵庫/簡易デスク・チェア/ハンガーフック/コンセント2箇所/1級遮光カーテン/姿見)
・浴室(男性用3室、 女性用1室)
・シャワールーム(男性用10室、 女性用1室)
・洗濯機(共用2台)
・男性用お手洗い、 洗面室、 ロッカー室
・女性専用パウダールーム(洗濯機1台)、 お手洗い、 談話室(ロッカー設置)
・リネン室
・喫煙室
乗務員宿泊棟では、食事管理と睡眠管理を徹底し、乗務員の心身両面の健康管理を実現する。安定した健康状態は心の健康にもつながると考えており、顧客へのサービスの質も向上させるよう取り組んでいく。
■健康経営の取り組み
乗務員の健康起因を事前予防する4つの検診(脳ドック/BNP心不全診断/眼底検査/睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査)を実施。「メディカルチェックスタジオ」と協業し提供する脳ドックでは、「ケア」「治療」の前段である「チェック」の領域にフォーカスし、スマートフォンやPCを活用し、予約から問診、検査結果の通知および管理まで一貫して行える「スマート脳ドック」をバス事業者の中で初めて導入する。
上記の検診結果をもとに、常駐する保健師が産業医と連携しながら乗務員への保健指導を行うほか、今回新設された乗務員宿泊棟にカフェテリアを設置しヘルシーメニューを提供するなど、乗務員の健康サポートも行っている。
■IoTを活用した運行サポート管理
走行中の乗務員の脈波を計測することで、自分でも気付かない疲れや眠気の予兆を検知し、本人に知らせる富士通株式会社が開発した運転者用眠気検知機器「FEELythm(フィーリズム)」を2016年より導入している。導入後前年と比較し、事故による車両損傷額が74%低下するなど、運転中の事故を減少させる効果があった。24時間体制でのネットワーク型車載ステーションを使用したモニター管理も実施されており、見える化で乗務員の状況を常に確認している。
また、新たな取り組みとして、2017年冬より試験的に導入していた三菱ふそうの自動運転装備付き新型AMT車両を、2018年3月末までに20台導入、今後さらに導入台数を増やしていく予定。
・ネットワーク型車載ステーション「DTS-D1D」
・運転者用眠気検知機器「FEELythm(フィーリズム)」
富士通が開発した、ネットワーク型車載ステーション「DTS-D1D」は、クラウド型サービスの利用により、運転中車両の撮影動画もリアルタイムで確認可能。ネットワークと画像の融合により、現場とのコミュニケーションを更に向上させ事故を防ぐ。
また、最先端の生体センサー技術を用いた眠気防止センサー「FEELythm(フィーリズム)」をネットワーク型車載ステーション合わせて使用している。この技術は、脈を計測することで、自分でも気付かない眠気の予兆を検知し、本人に知らせることで眠気を自覚させる。また眠気を検知した場合は、遠隔の運行管理者に知らせることで、休憩の指示等を適切に行うことができる。「FEELythm(フィーリズム)」で眠気データと運行データを収集し、運転者のシフトや、運行ルートの見直しなどに役立てている。