XMAXは欧州で根強い人気を誇るヤマハのミドルサイズスクーターで、現地では2017年に新型の300cc版としてデビューしているが、今回日本向けに250cc版として投入されることになったものだ。時代感と所有感を満たす上質なスタイリングや機敏で軽快な走りに、快適性や実用機能をバランスさせた新世代のスポーツコミューターで、TMAX(530cc)とNMAX(125cc)、マジェスティS(海外名SMAX/155cc)の間を埋める250ccカテゴリーとしての期待は大きい。
エッジの効いたデザインとスポーティなシルエットからもMAXシリーズの名に恥じない走りのモデルであることは一目瞭然。車格はNMAX155よりふた回りほど大きく、上体をアップライトに構えた余裕のあるライポジになる。
エンジンは吹け上がりがとてもスムーズで、気が付くといつの間にか速度が乗っている。鼓動感もジェントルで排気音も静かだ。どの速度域からもパワフルな加速をみせ、スロットル操作でぎくしゃくしたり、ミッション車のようにシフトチェンジの煩わしさもない。つまり、楽で速いのだ。高速道路でも100㎞/h巡行は鼻歌まじりの余裕で、そこからでも勢いよく加速していく動力性能はさすが250ccだ。高速コーナーでの車体の安定感もバッチリだ。
ハンドリングはまさにスポーツバイク並みで、剛性感のある車体とフロント15/リヤ14インチのタイヤの組み合わせによりワインディングも気持ちよく攻められる。モーターサイクルタイプのフロントフォークは剛性感たっぷりでギャップも平穏にいなしてくれるし、ハードブレーキングでも安定して減速Gを受け止めてくれる頼もしさがある。前後ディスクブレーキの効きも必要十分なレベルだ。ロケ先では海沿いの道で突然砂溜まりに遭遇して焦ったが、ABSやトラコンが大いに安心感を高めてくれたことは言うまでもない。
スマホなどに便利な電源ソケットやヘルメット2個を余裕で収納できるシート下スペースを備えるなど使い勝手も十分。都会で絵になるスタイリッシュな雰囲気とタンデムツーリングもこなせる実用性も併せ持つ、伊達なオールラウンダーだ。
【Specifications】
・認定型式/原動機打刻型式:2BK-SG42J/G3H5E
・全長/全幅/全高:2,185mm/775mm/1,415mm
・シート高:795mm
・軸間距離:1,540mm
・最低地上高:135mm
・車両重量:179kg
・燃料消費率:60km/h定地燃費値 40.7km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 34.5km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時
・原動機種類:水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
・気筒数配列:単気筒
・総排気量:249cm3
・内径×行程:70.0mm×64.9mm
・圧縮比:10.5:1
・最高出力:17kW(23PS)/7,000r/min
・最大トルク:24N・m(2.4kgf・m)/5,500r/min
・始動方式:セルフ式
・潤滑方式:セミドライサンプ
・エンジンオイル容量:1.70L
・燃料タンク容量:13L(無鉛レギュラーガソリン指定)
・吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
・点火方式:TCI(トランジスタ式)
・バッテリー容量/型式:12V, 7.0Ah(10HR)/GTZ8V
・1次減速比/2次減速比:1.000/7.589
・クラッチ形式:乾式, 遠心, シュー
・変速装置/変速方式:Vベルト式無段変速/オートマチック
・変速比: 2.458〜0.767 ・ 無段変速
・フレーム形式:バックボーン
・キャスター/トレール:26°30′/95mm
・タイヤサイズ(前/後):120/70-15M/C 56P(チューブレス)/ 140/70-14M/C 62P(チューブレス)
・制動装置形式(前/後):油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
・懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング
・ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED/LED
・乗車定員:2名