欧州でも人気のミドルサイズスクーター、ヤマハXMAX ABSの新型モデルが、1月25日いよいよ国内投入された。かつてビッグスクブームで一世を風靡した久々の250ccフルスケールモデルということでいやが上にも期待は大きく膨らむのだ。この発売されたばかりの同モデルにさっそく試乗した。(REPORT:佐川健太郎 PHOTO:山田俊輔)

ヤマハ XMAX ABS……642,600円

見た目美しく走りも上等、イマドキの新しい風を感じた

ビッグスクブームも今や昔、最近あまり見かけなくなった250ccスクーターで久々に大ヒットの予感がする。ヤマハの新型XMAXだ。


XMAXは欧州で根強い人気を誇るヤマハのミドルサイズスクーターで、現地では2017年に新型の300cc版としてデビューしているが、今回日本向けに250cc版として投入されることになったものだ。時代感と所有感を満たす上質なスタイリングや機敏で軽快な走りに、快適性や実用機能をバランスさせた新世代のスポーツコミューターで、TMAX(530cc)とNMAX(125cc)、マジェスティS(海外名SMAX/155cc)の間を埋める250ccカテゴリーとしての期待は大きい。




エッジの効いたデザインとスポーティなシルエットからもMAXシリーズの名に恥じない走りのモデルであることは一目瞭然。車格はNMAX155よりふた回りほど大きく、上体をアップライトに構えた余裕のあるライポジになる。




エンジンは吹け上がりがとてもスムーズで、気が付くといつの間にか速度が乗っている。鼓動感もジェントルで排気音も静かだ。どの速度域からもパワフルな加速をみせ、スロットル操作でぎくしゃくしたり、ミッション車のようにシフトチェンジの煩わしさもない。つまり、楽で速いのだ。高速道路でも100㎞/h巡行は鼻歌まじりの余裕で、そこからでも勢いよく加速していく動力性能はさすが250ccだ。高速コーナーでの車体の安定感もバッチリだ。


ハンドリングはまさにスポーツバイク並みで、剛性感のある車体とフロント15/リヤ14インチのタイヤの組み合わせによりワインディングも気持ちよく攻められる。モーターサイクルタイプのフロントフォークは剛性感たっぷりでギャップも平穏にいなしてくれるし、ハードブレーキングでも安定して減速Gを受け止めてくれる頼もしさがある。前後ディスクブレーキの効きも必要十分なレベルだ。ロケ先では海沿いの道で突然砂溜まりに遭遇して焦ったが、ABSやトラコンが大いに安心感を高めてくれたことは言うまでもない。




スマホなどに便利な電源ソケットやヘルメット2個を余裕で収納できるシート下スペースを備えるなど使い勝手も十分。都会で絵になるスタイリッシュな雰囲気とタンデムツーリングもこなせる実用性も併せ持つ、伊達なオールラウンダーだ。

フロント15/リヤ14インチの大径ホイールが安定感のあるコーナリングを実現。フロントフォークはアッパーブラケットまで貫通した正立タイプで接地感に優れる。


新設計の水冷SOHC4バルブ単気筒249ccエンジンは、燃焼室と吸気ポートの最適設計などにより高効率燃焼とロス低減を実現し、ピーク23psを実現。
テールライトはフロントとのイメージ統一を図った2灯LEDタイプを採用。デザインされたグラブバーはしっかりした作りで実用性にも優れる。


スマートキー通信エリア内ではステアリング、シート下トランク、左グローブボックス、フューエルリッドのロック解除がメインスイッチで可能。慣れれば便利なシステムだ。
フューエルリッドの開閉はメインキーを左に回すだけと簡単。フラップ両側には「X」を象ったステッチ模様が刻まれるなど粋なこだわりも。


小物を収納できるフロントトランクを左右に設置。右側はワンプッシュ式で開閉、左側はメインキー下のスイッチで施錠できる仕組み。

左側ボックスにはスマホなどの充電に便利な12VのDC ジャックを装備。ケーブルを通すスリットを設けるなど細かい使い勝手も考えられている。
45L容量のシート下スペースはヘルメット2個+αが収まる抜群の収納力。LED照明と油圧ダンパー付きでグレード感あり。


左スイッチボックスにはヘッドライトのハイ/ロー切り替え、パッシング、ウインカー、ホーンなどを美しく配置。
右スイッチボックスにはキルスイッチ、ハザード、スターターなどを整然とレイアウト。ディテールにも質感を感じる。


アナログ2連メーターの中央に配置された大型LCD多機能ディスプレイが先進性をアピール。右ハンドルのスイッチで表示を切り替えられる。
スマートキーを採用。キーを取り出さずに車両のメインスイッチを押して回すだけで電源ONとなりハンドルロックが解除される。


【Specifications】


・認定型式/原動機打刻型式:2BK-SG42J/G3H5E


・全長/全幅/全高:2,185mm/775mm/1,415mm


・シート高:795mm


・軸間距離:1,540mm


・最低地上高:135mm


・車両重量:179kg


・燃料消費率:60km/h定地燃費値 40.7km/L(60km/h) 2名乗車時


WMTCモード値 34.5km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時


・原動機種類:水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ


・気筒数配列:単気筒


・総排気量:249cm3


・内径×行程:70.0mm×64.9mm


・圧縮比:10.5:1


・最高出力:17kW(23PS)/7,000r/min


・最大トルク:24N・m(2.4kgf・m)/5,500r/min


・始動方式:セルフ式


・潤滑方式:セミドライサンプ


・エンジンオイル容量:1.70L


・燃料タンク容量:13L(無鉛レギュラーガソリン指定)


・吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション


・点火方式:TCI(トランジスタ式)


・バッテリー容量/型式:12V, 7.0Ah(10HR)/GTZ8V


・1次減速比/2次減速比:1.000/7.589


・クラッチ形式:乾式, 遠心, シュー


・変速装置/変速方式:Vベルト式無段変速/オートマチック


・変速比: 2.458〜0.767 ・ 無段変速


・フレーム形式:バックボーン


・キャスター/トレール:26°30′/95mm


・タイヤサイズ(前/後):120/70-15M/C 56P(チューブレス)/ 140/70-14M/C 62P(チューブレス)


・制動装置形式(前/後):油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ


・懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング


・ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED/LED


・乗車定員:2名
情報提供元: MotorFan
記事名:「 TMAXらしさも注入されてました。「XMAX ABS」 最速試乗レポート