東京ビッグサイトで開催中のオートモーティブワールド2018。ネツレン高周波熱錬のブースに展示されていたのは、中空ラックバーだった。

ステアリングのラックバーとは、「ラック&ピニオン」のラックで、ピニオンギヤの回転運動を直線運動(ステアリングを左右に動かす)に変換するためのラックギヤが歯切されたバーのことだ。


ネツレン高周波熱錬のブースに展示されていたのは、ホンダNSXのステアリング・システムだ。ネツレンは、ここに「中空ラックバー」を供給している。同社は、世界で唯一「中空ラックバー」の一貫生産ライン(塑性加工〜高周波焼入れ〜仕上げ完成)を持つサプライヤー。従来の切削加工とは異なる冷間塑性技術により、最大50%の軽量化、ニヤネットシェイプを実現できるという。もちろん、耐久性、精度も問題ない。


ネツレンが得意とするのは、VGR(可変ギヤレシオ)のステアリングラックだ。可変ギヤレシオで中空ラックバーを作れるのは、同社だけだという(棒材をガンドリルでくりぬいて中空にするメーカーはあるそうだ)。

一番上のバーは、左側が中空(つまりパイプ)で、右が中実。2段目でそれを摩擦圧接して一本にする。一番下では中実部分にも歯切をしてデュアルピニオンタイプのラックバーが完成する。つまり、NSXのステアリングラックバーは、6割中空、4割中実とも言える。

ホンダNSXのデュアルピニオン式EPS

電動化、燃費規制の強化などで、軽量化へのニーズは高い。ラックバーで1kg軽くできるなら、今後の引き合いも増えていくだろう。現状では、NSXのようなスポーツカー、高級SUVなどで採用されているという。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 1kgの軽量化効果アリ。NSXのステアリングは、「中空ラックバー」だった!【オートモティブワールド2018】