さて、この塗料を展示していたのはAIWA。一体どんな塗料なのか、その特色を知りたくてお話を聞いてみることにした。お話をうかがったのはカスタム課の秋山課長である。
秋山さんは、「今回展示しているのはHOUSE of KOLOR、DNA、VIBRANCE、それと少しですけどGFAという当社オリジナルブランドです」そう話してから、ブランド別の説明からしてくれた。
HOUSE of KOLORとは、カスタムペイント専用で使われるアメリカ発祥の老舗ブランドで、そもそも塗料とは自動車補修が主な用途であるのにデザインするためだけを目的に作ってしまったところがポイントなのだそう。つまりボディにフレームスを描くとか、絵や文字を描くという事をメインとした塗料の会社ということだ。
つぎにオーストラリアのDNA。こちらはプラントを持ち自社で一貫生産するとともに、すべてを自社で管理しているところがポイント。そのため色ブレも少なく、在庫切れもほぼないという。生産と管理がしっかりできているという点で、ちょっと日本に似たような会社ともいえるそうだ。
そしてVIBRANCEだが、こちらは自動車補修用のPPGというメーカーのカスタムラインとのこと。PPGというのはフェラーリとかランボルギーニの純正塗料をやっているメーカーで、本拠地はアメリカにある。日本では馴染みが薄いブランドだが、海外ではHOUSE of KOLORと肩を並べるほどの超有名ブランドなんだとか。
秋山さんの説明によるとHOUSE of KOLORがカスタムペイントのリーディングカンパニーということのようなので、HOUSE of KOLORの特徴などをも少し詳しく教えていただいた。
「キャンディシリーズという飴色みたいなキレイな色を出す塗料がありまして、もちろん他メーカーにも同じような色はあります。でもHOUSE of KOLORでやったとなると確実に一目置かれます」だそうで、HOUSE of KOLORが老舗中の老舗であるという部分も大きく、そのままカスタム業界での知名度と人気を表しているのである。
日本でのHOUSE of KOLORのネームバリューは絶対的で、国産でどんなに良い塗料だとしても"HOUSE of KOLORで塗った"という事実のためにHOUSE of KOLORのほうが選ばれるほどなんだとか。ちなみにAIWAの自社ブランドGFAでまったく同じものをラインナップしていても、4000円とか5000円も高いHOUSE of KOLORの塗料が選ばれるのが実情だとも。今回のAIWAブースで展示されていたマーキュリーはフルHOUSE of KOLORで、間に他の塗料を挟んでいないというだけで関心度も高く、いわゆるハクがまったく違うのだという。
さらに「フレーク、キャンディ、その他に色を付けたり模様を描くといった目的や用途別にそれぞれ適した塗料が揃っているんです。そうやって塗料を使い分けられることと、それだけのラインナップを揃えているという点もポイントでしょう。たとえばキャンディなんかの飴色系は色の退色がけっこうおきやすいんですけど、その対処にいち早く取り組んだメーカーでもあります。耐候性の高いクリアを出して、耐候性の高い樹脂を使って、その取り組みを始めるのが圧倒的に早かったんです。まだ日本の自動車補修業界が現在の一液より前の二液と言われるタイプを使っていたころ、その時点でHOUSE of KOLORは一液の塗料を揃えていて、なおかつ二液の耐候性が強いキャンディもラインナップしていたんです。それからラップ塗装の実演もHOUSE of KOLORがはるかに早い段階から行っていましたし、模様をつけたりデザインしたりして、一番発色がキレイなのはHOUSE of KOLORだと思います」とのこと。ラップ塗装とは塗ったばかりの塗膜にラップを貼り付け、それを剥がすことで表面に模様を作る塗装手法のことである。
色を塗り重ねても仕上がりと発色のキレイさが際立つHOUSE of KOLOR、そのネームは伊達じゃないんだということがよく分かる取材だった。もしもアメリカンカスタムペイントにトライしてみようというなら、HOUSE of KOLORは絶対だということも!【北ホール11)