デンソーブースの中心に据えられていたのが、このプラグ生産における記念的節目にあたって、その歩みをひもとくというディスプレイボード。ゼロベースからのスタートにあたり1955年にロバートボッシュとの間で結ばれた技術援助契約のもとで開始された黎明期の研究開発の結晶として、そのわずか4年後に量産へとこぎつけることとなった第一世代の製品であるP2プラグ(トヨタ クラウンに採用)から、1970年代に始まった排出ガス規制への対応から着火性向上の取り組み、電極材への白金材料の採用によりさらなる着火性能の向上を果たしながら寿命を大きく伸ばした1980年代、そして中心電極にイリジウム合金を用いる現在の技術に至るまでが、各時代の製品を展示しながら、わかりやすく解説されていた。
そして、興味深かったのがエコキュートの展示だ。無知な筆者は「なぜ住宅設備が?」と思ってしまったのだが、実は電気を用いて効率的にお湯を沸かすという、エコキュートの中核をなす技術である、CO2(自然冷媒)を冷媒とするヒートポンプは、デンソーの車載用技術から生まれたもので、このシステムが登場した当初は、住宅設備を扱う各社から発売される製品に組み込まれる同システム部のすべてデンソーが手がけていたという(開発は東京電力と電力中央研究所との三社共同)。それまでになかったこのシステムが登場(商品化は2001年)してきた背景には、デンソーが自動車という競争の激しい世界で培ってきた技術が生きている。