i3sのeDriveシステムは、たとえば発進時、ブレーキ回生時、タイトコーナーを抜けるときなどにおいて駆動力と安定性を目覚ましく改善させている。システムの発揮する性能は最大トルクが270Nm/0rpm、最高出力は135kw(184hp)。NEDCにおける電費は14.3kWh/100km、0g/km-CO2。50倍早いという制御は、演算処理結果を従来のようにリモートユニットから長い信号線を経て送る方式ではなく、直接パワートレインを演算処理する構造によって得られている。
「瞬時にトルクを得られるという特性から、パワートレインにおける電動モーター採用要求が著しく高まっています」とはシャシー開発部門のヘッドを努めるペーター・ランゲンの言。それに対して、BMWのエンジニアは市場の要求に正面から向き合う新しいシステムを開発した。
この、高応答制御サイクルの恩恵はEVにとどまらない。エンジン車においても駆動力の確保、走行安定性の向上、ダイナミクスを最適化する可能性を秘めている。今後、BMW/MINIの各車──FFWD、FRWD、FAWDを問わず──において搭載される見通しで、発進が困難な状況においても安心と満足をもたらすだろう。