日本自動車工業会・日本自動車部品工業会・日本自動車車体工業会・日本自動車機械器具工業会は1月5日、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)で、「平成30年自動車工業団体新春賀詞交歓会」を開催した。

自工会の西川廣人会長は冒頭の挨拶で、「私の所属する日産自動車における不適切な完成検査の問題から、お客様と関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけし、結果として大きな不安、不信を招いたことを心よりお詫び申し上げます」と述べたうえで、「昨年この場で事業環境は厳しいと述べたが、米国の全需は下回ったもののグローバルでの事業環境は順調な年だった。国内市場も堅調に推移した」と昨年を振り返った。




また、新年の需要については、「昨年12月に閣議決定された経済政策パッケージと米国における税制改正によって堅調な需要が継続するものと期待している。国内市場活性化においては何をおいても税制改正が重要。来年度の消費増税によって極めて重要な曲面を迎えるため、従来から主張している通り車体課税の簡素化・低減に向けて関係者と連携して一丸となって取り組んでいきたい」と、見通しを述べた。




さらに、「一方で世界では自動化・電動化の流れが加速しており、本年も引き続き大きな進展があるものと見ている。日本のものつくりのためにも、先進技術の進化において世界をリードしていきたい。そのうえで、各社間での競争だけではなくインフラ整備などにおいては協調も大きな原動力となる。特に国・地域間での競争においてはこの協調がますます重要になる。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は日本の先進技術を世界にアピールする大きなチャンス。これには自動車業界全体で取り組んでいく」と、今後の展望を示している。

来賓挨拶で自動車産業の重要性を強調する世耕弘成経済産業大臣

その後、世耕弘成経済産業大臣と、石井啓一国土交通大臣が来賓として挨拶。世耕経産大臣は、「昨年はEV最優先の税制を宣言した国があり、自動運転は新たなステージに入ろうとしている。またカーシェアなど、自動車がモノからサービスとなる取り組みを始めている動きもある。こうした中で、日本の自動車産業が世界を引っ張らなければ、我々の子供の世代は豊かさを享受できない。この自動車産業に関する政策を誤ることがないよう、よく考え対話しながらしっかり方向性を見定めていきたい。日本の強みはいざとなれば何でも作れること。EVもFCVもHVも立派なものが作れる。一本足打法ではなく多方面の作戦を組めるのが日本の自動車産業の強いところだと思っているので、そういった特色を温存しながら国として後押ししたい」と、慎重に政策を決定していく方針を示唆した。




また、「来年やいよいよ消費税が上がる。ここへ向けて、車体課税の抜本的見直しをしなければならない」と述べ、消費増税に合わせた車体課税の軽減に取り組む姿勢を示している。

来賓挨拶で完成検査不正問題に言及する石井啓一国土交通大臣

石井国交大臣は、「自動車分野は100年に一度の大変革を迎えようとしている。ひとつが自動運転、もうひとつが電動化。2020年の高速道路レベル3自動運転実用化に向け、精力的に技術開発を進めていただいているが、それに向けて自動運転車の安全基準策定や道の駅を拠点とした自動運転サービス、トラックの隊列走行などの実証実験に取り組んでいる。それを世界中に展開するため、国連での国際基準作りをリードするなど、皆様と一体となって議論を牽引していきたい」と展望を述べた。




そのうえで、「昨年相次いで発覚した完成検査の問題は、これまで世界で評価されてきた日本のものづくりに対する信頼を揺るがしかねない問題であり、あってはならないこと」と厳しく指摘。「国交省としては事案の再発防止徹底とその根絶に向け取り組んでいくので、皆様方もコンプライアンス遵守の徹底を図ってほしい」と要請している。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 自工会・西川廣人会長「新年は堅調な需要継続を期待」、国交省・石井啓一大臣「完成検査問題の再発防止徹底とその根絶に向け取り組んでいく」