そのメカニズムは路面に埋設されたループコイルで速度を測り、設定速度を超えたクルマを約20m後方の本体に設置されたカメラで撮影するというもの(計測方法は下記を参照)。ここまでは最新型のLH、LS型に継承されている。
が、最新型と違うのが、銀塩式のカメラを使っているということ。しかも、入っているフィルムはたったの36枚しか撮れないから36回光ったら、あとはただの箱になってしまう。つまり、定期的なフィルム交換が必要となり、そのフィルムが回収されない限り、呼び出しは来ない。当然、撮影
(無限)→電送というシステムのLHやLSに比べ、どうしても被疑者への通知が遅れてしまう。また、中央装置から速度の設定が行えるLHやLSに対し、オービスⅢはいちいち現場まで出向く必要がある。そんな手間を考えても、警察にとって、新旧交代は急務というわけだ。
とはいえ、いまだに100機以上が現存し、改良された新しいヴァージョンも見かける、オービスⅢ。ループコイルを埋める手間はLHやLSと同じだが、道路上にアーチを設けなければいけないLHよりも設置は簡単だし中央装置との通信システムも必要がないというのも考え方によっては利点(シンプルイズベスト?)であることに間違いはない。
もちろん、いずれは消えゆく運命ではあるけれど、路肩や中央分離帯というクルマの走行には影響を与えない場所に設置されているため、例え稼働を中止したとしても、そこに置いておくだけでオービスⅢはドライバーにとって明らかに抑止力となる(LHやHも同様といえば同様だが、道路の頭上にあるため放置しておくと錆や金属疲労により部品が落下したりする恐れがある)。事実、現存する100機以上の中に、ダミーと思われるオービスⅢが相当数、あるのだ。
いずれにせよ、最新型に比べて格段に目立たないという手ごわさは健在。最近のレーダー探知機はGPS機能によりレーダー波を感知しなくても警告を発してくれるからループコイル式の強みは薄れてはいるが、「ついうっかり」まではカバーしてくれない。特に夜、闇夜に突然、現れるオービスⅢにはくれぐれも注意だ!