このマクラーレンF1北米サービスセンターにはF1の検査やメンテナンスをするのに必要な専用工具などが一式揃っている。マクラーレンF1の1年ごとの定期検査には膨大な検査・チェック項目がある。車の中を検査するだけでなく、“ビークルシェイクダウン”という名称で、テストトラックなどで試走し車のパフォーマンスを測定しセッティングまで行なう。さらに毎年2回目の定期検査ではより多くの検査項目があり、5年ごとの検査では燃料タンクを取り換える大規模なメンテナンスを行なう。これらを行なうのに北米のマクラーレンF1オーナーたちはわざわざ年に数回、イギリスへと車を送っていたわけだ。
マクラーレン北アメリカの最高責任者Tony Joseph氏は
「マクラーレンF1のサービス、メンテナンスは決してクイックなプロセスではない。わが社が誇る整備士たちがF1のボルト一本一本じっくり見る時間が必要だ。ただでさえ長時間かかる毎年の整備に、北米オーナー達はさらに出荷分の時間も加わる。これでかなりの時間と費用がかかってしまう。北米にサービスセンターがあることでこれらの問題を一気に解決し、北米のマクラーレンF1オーナーを最優先することができる」
と、同センターの意義を強調した。
マクラーレンF1は世界でたった106台の限定生産品だ。緻密な計画からデザイン、設計から制作まで4年かかったこの名車は1990年代には様々な世界記録を更新した。620bhpの出力を誇る6.1ℓ V12エンジンは自然吸気エンジンでは最も強力なエンジンのひとつだ。また、マクラーレンF1は市販車では世界初のカーボンファイバーシャシーを採用しているほか、ガルウィングドアやフラットアンダーボディ、エアブレーキなどといった、現在のラインアップが持っている特徴を始めて採り入れた車種となっている。
マクラーレンは同じようなサービスセンターをアメリカ西海岸にも将来的には建設する予定だという。