また、圧雪路とは別に、氷盤路※3の坂道(勾配9%)でも、スタッドレスタイヤとスタッドレスタイヤ+チェーンで、「平坦路から発進した」場合のテストを行なった。
※1 圧雪路とは、 雪が踏み固められた状態の路面。
※2 タイヤはすべて新品で、 1.ノーマルタイヤ、 2.スタッドレスタイヤ、 3.オールシーズンタイヤ、 4.ノーマルタイヤ+チェーン、 5.ノーマルタイヤ+オートソック、 6.ノーマルタイヤ+スプレーチェーンで実施しました。
※3 氷盤路とは、凍結した路面(アイスバーン)。
テスト結果表は以下の通りで、ノーマルタイヤは平坦路から発進するテストの勾配12%と20%、坂道の途中から発進するテストの勾配12%と20%と、 登坂テストのすべての項目において上ることができなかった。
一方、スタッドレスタイヤは、平坦路から発進し勾配20%の雪道を上るテストで唯一上ることができたが、坂道の途中から発進した場合では、スリップしてしまい坂道を上れなかった。
また、勾配9%の氷盤路では、アイスバーンと呼ばれる滑りやすい路面だったため、スタッドレスタイヤでも上れなかったが、スタッドレスタイヤにチェーンを装着すると、坂道を上ることができた。
このようにノーマルタイヤでは、勾配12%の雪道でさえ上ることができない。スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着するようにしよう。 また、スタッドレスタイヤは、他のタイヤと比べて登坂性能は高いものの、雪や雨が降ったあとの凍結路面などではその限りではないので、 注意が必要だ。
「旋回テスト」の実験では、前輪駆動のコンパクトカー※4を使用して圧雪路の円周コース(半径20m)を15km/hから周回し、 速度を5km/hずつ上げ、カーブに沿って曲がれるか、車の挙動を4種類のタイヤ※5で検証した※6。
※4 タイヤのグリップ力(摩擦力)を比較するため、 横滑り防止装置(カーブなどで車が不安定な状態になったとき、 自動的にブレーキやエンジン出力を制御して安定させる装置)を解除して実施した。
※5 タイヤはすべて新品で、 1.ノーマルタイヤ、 2.スタッドレスタイヤ、 3.オールシーズンタイヤ、
4.ノーマルタイヤ+チェーンで実施した。
※6 安全を考慮して最高速度は1.ノーマルタイヤ・4.ノーマルタイヤ+チェーンは30km/h、 2.スタッドレスタイヤ・3.オールシーズンタイヤは40km/hまでとした。
テスト結果は、写真の通りで、スタッドレスタイヤは、40km/hまでパイロンから極端に離れず、安定して走ることができたが、ノーマルタイヤは、30km/hでパイロンに沿って走ることができず、大きく走行ラインが膨らんだ。また、チェーン装着車は、前輪と後輪のグリップバランスの差が大きく、30km/hで急に後輪が滑り出し、前輪を軸にスピンしてしまった。
降雪時、ノーマルタイヤではカーブを曲がれきれず、対向車線にはみ出したり、路外に逸脱する恐れがあるので、スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着するようにしたい。チェーンは基本的に車両の駆動輪のみに装着するため、グリップ力(摩擦力)のバランスが前後のタイヤで大きく異なるので、速度を出していると、カーブでスピンすることもあるので注意が必要だ。