ゴルフ初のゼロエミッションビークルとしてデビューしたe-Golf。JC08モードでの航続可能距離は301km。EVシフトを急ぐVWの主力モデルであるゴルフのEV版は、どんなクルマか。日産リーフと比べてどうだろうか?

e-Golfは、ゴルフ初のゼロエミッションビークルである。


VWは新しい電気自動車用のプラットフォームであるMEBを開発中だ。今回のe-Golfは、MEBではなく、もちろん実績あるMQBがベースだ(そもそもMQBが登場したとき、「電気自動車にも対応できる」と言っていたような気もするが……)。


今年秋のフランクフルト・モーターショーでVWは、2025年までにグループ全体で80車種の電動化車両を市場に導入すると宣言している。80のうち50車種は完全なEVだというから、VWの本気度は高い。

e-Golfに短時間だが試乗することができた。


ラジエーターグリルとLEDヘッドライトにVWのe-Mobilityを表すブルーのラインを配しているが、外観は、ゴルフそのもの(当たり前だ)。


試乗開始時間は夕方。すでに日は落ちていた。乗る前に、とりあえずエンジンルームを見てみよう(エンジンはないが)。

これが駆動用モーター。型式の「EAZ」の文字が見える。

駆動モーターは、交流同期モーターで、100kW(136ps) 最大トルクは290Nm。日産リーフは、100kW(136ps) 最大トルクは290Nmだ。


バッテリーは、もちろんリチウムイオン電池で、容量は35.8kWh。日産リーフは、40kWhである。


総電圧は323V。リーフは350Vである。


車重は、e-Golfが1590kgなのに対してリーフは100kg軽い1490kgだ。


交流電力量消費率は、e-Golfが124Wh/kmで、リーフは120Wh/km。これは1km走るのにどのくらい電力を消費するかという指標。小さい方が性能が高いと言える。

e-Golfのリチウムイオンバッテリーは、この位置に積む。重いが、低重心となり走りには悪いことばかりではない。

1充電走行距離(JC08)は、e-Golfの301kmに対して、リーフは400kmである。電気自動車として最初から開発されたリーフに対して、e-GolfはICE(内燃機関)を搭載するベースモデルを電気自動車化したモデルだ。電気自動車の性能指標でリーフに敵わないのは、ある意味仕方ない。




それぞれがカタログ値の80%、実走行できたとして、日産が320km、e-Golfが240kmほどとなるわけだから、充電なしで300km走りたいということなら、リーフを選ぶしかない。




しかし、逆に言えばそれ以外の部分は、「EVとして」ではなく「クルマとして」を考えれば、世界のCセグカーのベンチマークたるゴルフの良さをそのまま持つe-Golfの魅力が際だってくる。

トランクはゴルフらしく容量は十分だ。
トランク下には充電用のプラグなどを収納できる。


さて、乗り込んでみよう。シートに座って見える景色は、なじんだゴルフの世界そのものだ。シフトを「D」に入れてアクセルを踏めば、電気自動車らしく静かに、するすると前進する。


通常の「D」レンジでは、アクセルペダルから足を離すと、コースティングするセッティングになっていて、これだと回生はしない。シフトレバーを左に倒すと「D1」「D2」「D3」の順番で回生ブレーキの利きを強めることができる。


シフトレバーを「B」に入れると回生ブレーキの利きは最大になる。

ドライブモードは、「ノーマル」「エコ」「エコ+」の3つから選べるが、航続距離を意識して走るなら「エコ」が最適だと感じた。「エコ+」では、いくらなんでも遅すぎる。とくに飛ばしたいという欲求がなくても、エコ+で走るとストレスが溜まる。




1.4ℓ直噴ターボを搭載するゴルフTSIハイラインより270kg重いe-Golfだが、走り味はゴルフ・ファミリーだ。しっかりしていて安心感がある。




e-Golfは、普通充電(200V)と急速充電(CHAdeMO)の2種類の充電機能を搭載している。


急速充電ポートは車体の右側面。急速充電での充電時間は0-80%で約35分だ。


普通充電ポートはフロントのVWエンブレム内にある。また、普通充電では、現在の主流である3kW(200V/15A)規格だけでなく、6kW(200V/30A)規格の倍速充電器にも対応している。


3kW普通充電では満充電まで約12時間、これが6kW普通充電なら約6時間となる。


とはいえ、毎日バッテリーを空にしてから充電するユーザーは少ないだろう。通常なら3kWで十分なのではないかと思う。6kW充電に対応している、ということだが、別途費用もかかる(オプション設定)。




さて、e-Golfの価格はモノグレードで499万円(消費税込み)だ。CEV(クリーンエネルギービークル)補助金は30万1000円あるから、約470万円というのが、e-Golfのプライスである。日産リーフは、Gで399万600円。CEV補助金が40万円。つまり約360万円というわけだ。その差110万円。


どうしてもEVを買いたい。買わなければならない理由がある(どんな理由だろう?)なら、うーん、110万円の価格差は大きい。


EVでなくてもいい、ということなら、前述のTSIハイライン、世界のゴルフⅦが325万円9000円で手に入る。価格差は約144万円。


おまけに、PHVのゴルフGTE(EV走行可能距離は45km)の価格も469万円となると、なかなかe-Golfまで行き着かない。


リーフとの価格差がもう少し詰まったら(当然普通のゴルフとの価格差も縮まる)ゴルフのEVがほしいという気持ちもわかる。e-Golfは、将来MEBベースで登場するEVへの橋渡し役を果たすクルマというのがそのポジションだろう。

CEV補助金は、航続走行可能×1000円。e-Golfの場合は、301×1000で30万1000円。リーフの場合は400×1000で40万円だ。

e-Golfのスペック( )は日産リーフのスペック

全長×全幅×全高:4265×1800×1480mm(4480×1790×1540mm)


ホイールベース:2635mm(2700mm)


車重:1590kg(1490kg)


1充電走行距離(JC08):301km(400km)


交流電力量消費率:124Wh/km(120Wh/km)


バッテリー:リチウムイオン電池


総電圧:323V(350V)


総電力量:35.8kWh(40kWh)


モーター型式:EAZ(EM57)


最高出力:100kW 136ps/3300-11750rpm(110kW 150ps/3283-9795rpm)


最大トルク:290Nm/0-3300rpm(320Nm/0-3283rpm)


トランスミッション:1段固定式


変速比:1速2.5000/後退2.500


最終減速比:3.608(8.193)


サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル R4リンク/コイル


ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク


タイヤ:205/55R16



情報提供元: MotorFan
記事名:「 EVのゴルフ、e-Golfは買いか。リーフと比べたら?