AUVは、自ら置かれた状況を判断しながら、あらかじめ与えられたミッションを遂行できるため、現在主流のテザーケーブル付き遠隔操縦無人潜水機(ROV:Remotely Operated Vehicle)と異なり、洋上船(母船)における専任のオペレーターや特殊な船上装置が不要となる。
さらに、充電や収集した検査データの母船への転送などを海中で行うことにより、水中作業の長時間化を実現することで、洋上でのAUVの揚卸し作業の最少化による船員の負担軽減や安全性の向上、およびメンテナンス作業のコスト低減が期待できる。
今回の実証試験は、2017年11月6日~20日の期間において、英国スコットランドのフォートウイリアムにある海上試験場「The Underwater Centre」で実施し、AUV(プロトタイプ機)と充電ステーションを使った海中でのAUVと充電ステーションとの自動ドッキングや非接触充電および大容量光通信を実証した。
実証期間中には、複数のOil &Gas会社(オイルメジャー)や水中機器の運用会社、英国の政府機関、学会など当社のAUV開発に興味を持つ関係者を招待し、デモンストレーションを実施した。関係者から高い評価を得るとともに、今後の商用化に対する期待が寄せられている。
川崎重工は、今回実証に成功した自動ドッキングなどの要素技術や、英国ヘリオット・ワット大学と共同研究を進めている制御アルゴリズム(複数のセンサーを使用し、AUVが自ら判断しながら近距離での水中パイプライン位置の推定を可能とするための理論式)を搭載した海底パイプライン検査用AUVの開発を今後さらに本格化させ、2020年度中の商用化実現に向けて取り組んでいく。