11月7日のプレスリリースによると、ボルグワーナーはBMWの235kW(315ps)ディーゼルエンジンの性能向上に挑戦してきたという。 ここでいう235kWのディーゼルエンジンとは、おそらくBMW B57型3.0ℓ直列6気筒ディーゼルターボエンジンのことだろう。B57でもっともパワルフな仕様は、なんとクワッドターボシステムだった。つまり、4基(高圧ターボチャージャー×2、低圧ターボチャージャー×2)を備えていた。
今回のボルグワーナーのプレスリリースを解読すると…… 新しいR2Sは、ふたつの可変タービンジオメトリーターボ(VTGターボ、VGターボとも呼ばれる)を用いている。 VGターボチャージャーそのものは、ディーゼルエンジンでは標準的だ。可変タービン機構を持つVGターボチャージャーは、通常のターボチャージャーより高価だ。 たとえば、マツダのSKYACTIV-D2.2は、2ステージターボを採用しているが、大小ふたつのターボチャージャーのうち大きい方は可変ジオメトリーを使うが、小さい方は通常のターボチャージャーだ。 今回、BMWの直6が採用する模様のR2Sは、大小ふたつともVGターボという点が特徴になる。 ボルグワーナーは、「可変タービンジオメトリー(VTG)ターボチャージャーを用いた2段階ターボ過給システム(R2S)は強力なブースと加速力をもたらし、同時に排出量と燃料消費を大幅に削減する」と主張する。 ボルグワーナーによれば、この最新のR2Sターボ過給システムはふたつの直列配置された電動式可変タービンジオメトリー(VTS)ターボチャージャーによって構成される。低回転域では小型・高圧過給機がメインにブーストをかけ、エンジン回転が増えるにつれて大型・低圧過給機が主体となるようなつくりになっている。VTGターボチャージャーを低回転域にも用いることでエンジンの機敏な動きをより向上させ、優れた加速性能を追求する。また同時にターボラグを最小限に止め、排出量と燃料消費を大幅に削減する。 「最新のVTGターボをふたつ組み合わせることで、このR2S システムは瞬時の加速と低回転域での高い燃費効率をもたらす」 とフレデリック・リサルド(Frederic Lissalde)ボルグワーナー・ターボシステムズ社長兼事業本部長は言う。 前述したように現在のB57型3.0ℓ直6ディーゼルはクワッドターボである。これをボルグワーナーのR2Sに切り替えることで、出力同等・燃費改善できれば、4基のターボよりコスト、重量でBMWにとってメリットは大きい。B57の仕様変更でクワッドターボがR2Sに切り替わるのだろうか?