なぜそこまで静粛性をつきつめるのか? その背景には近年の電動化が進む新車事情があるだろう。イギリス、フランスが2040年には純粋な内燃機関車の販売を禁止すると発表し、中国もそれを検討するなどグローバルで電動化の流れがあるのは事実だ。そして電動化によって静かになったエンジンの代わりに目立つようになった騒音がタイヤのロードノイズというわけだ。
来年から日本でも自動車タイヤの騒音規制が国際基準に基づき、厳しくなるという話もあり、静粛性を追い求めるのは世界的な動きかもしれない。もちろん高速域では風切り音も見逃せないが、日本の交通事情(100km/h制限)では、まずはタイヤに静粛性が求められる。
なおコンパウンドはウエット性能のグレーディングで最高となるaと、低燃費性能でもAを両立するために、独自のナノテクノロジーによって、A.R.T.MIXINGと呼ばれる新混合技術を開発し、コンパウンドのシリカの分散性、均質性を高め、ウエット性能を向上した。またサイド部にも発熱を抑えるゴムを採用することで低燃費も実現したという。
これらを総合するとつまり静粛性に優れ、ウエットグリップも高く、低燃費というよくばりな内容だ。今後は先述の静粛性規制だけではなく、CO2規制もますます厳しくなるから、ここD-PARCでの技術開発は休む暇もなさそうだ。現在はまだ24サイズだが18年春にはさらにサイズ拡大を計画しているという。