この11月9日(木)にいよいよ発売される新型ルノー・メガーヌGTスポーツ・ツアラーで、550kmの燃費テストに行ってきた。目的地は秋深まる長野県は木曽路方面だ。あわせて、メガーヌGTのツアラーとしてのポテンシャルも体感する。




REPORT◎小泉建治(KOIZUMI Kenji)


PHOTO◎平野 陽(HIRANO Akio)

通常時で580L、6:4分割可倒式のリヤシートを両方倒した時には1695Lもの容積を誇るラゲッジスペース

2017年10月に発表され、11月9日(木)に発売されるルノー・メガーヌGTで、早速ロングドライブテストを敢行した。出発地は東京都の新宿で、目的地は長野県の木曽地方、中山道屈指の宿場町として知られる奈良井宿だ。




旅の伴侶に選ばれたのは、ステーションワゴン・ボディを持つメガーヌGTスポーツ・ツアラーである。まずは荷物は積み込む段階から、実用性を重んじるフランス車ならではの底力を思い知らされた。プロのカメラ機材はとにかくかさばり、カメラバッグは大型スーツケースくらいあるし、三脚は極太で機関銃みたいだし、レフ板やらディフューザーは薄いけれど面積が大きい。そこへ大人2名分の荷物が加わるのだから、リヤシートまで浸食してくるのも珍しいことではない。しかしスポーツ・ツアラーはなにごともなかったかのようにそれらをすべて飲み込み、トノカバーまで完全に閉まった。これなら防犯上も好ましい。

白樺湖のほとりでひと休み

中央道をひたすら疾走して感じたのは、凄まじいまでの直進安定性だ。今回のメガーヌGTのメカニズムにおける最大のトピックは、4コントロールと呼ばれる四輪操舵システムの採用だ。これは60km/h以下(スポーツモード時は80km/h)では後輪が逆位相して旋回性を高め、それ以上の高速域では同位相とすることで安定性を高めるというもの。もともとルノーは直進性に定評があるが、そこへ4コントロールという飛び道具が加わり、メガーヌGTはステアリングに手を軽く添えているだけで矢のように視線の先へと突き進む。そして車線変更時は、まるでミズスマシのように平行移動する。この4コントロールは、18年に上陸する予定のメガーヌR.S.にも採用されている。




さて、そんなこんなで最初のチェックポイントである諏訪南インターチェンジに到着。ここまでの走行距離は167km、平均速度は80km/hで、燃費は17.7km/hと出た。全体的に登り坂傾向であったことを考えればなかなか優秀だ。




ちなみに筆者の体重は75kg、カメラマンは73kg、荷物の重さは約40kgで、エアコンの設定温度は全行程を通じて22℃だ。

目的地である奈良井宿に到着したのは、すっかり日も暮れた後……

ここからは八ヶ岳エコーラインとビーナスラインという、風光明媚な観光道路で4コントロールがもたらすアジリティを堪能する。高速道路では終始安定、至極快適なメガーヌGTが、ワインディングでは超絶ハンドリングマシンに変貌する。その境目がハッキリしているわけではないため、違和感はほとんど覚えない。可変減衰ダンパーではないから乗り心地が悪化するわけでもない。近年は電子制御を使ってさまざまなドライブモードを用意するモデルが増えてきているが、4コントロールはそんな時代の要求に応える極めてルノーらしい回答と言えそうだ。




国道142号線と国道19号線を経て奈良井宿に到着したのは、すっかり日も暮れた後だった。実は前日に超大型台風が日本列島を直撃しており、その影響で高速道路の各所で通行止めが敷かれ、スタートがだいぶ遅れていたのだった。

早朝、奈良井宿の目抜き通りを散策する

車両感覚が掴みやすく、狭い路地からの右左折時のストレスも最小限

翌日は奈良井宿の周辺を撮影を兼ねてしばし散策した後、国道361号を経て伊那インターチェンジから中央道に乗る。




ここまで一般道───主に山岳路を175km走り、平均速度は38km/hで燃費は13.2km/lだった。霧ヶ峰高原の辺りでは何度かアクセル全開をかましてしまったし、撮影のために低めのギヤに固定して走った場面も多々あったのだが、10km/Lを大きく上回ったのには感心した。




伊那インターチェンジからはひたすら東京を目指してひた走る。ルノーお得意の絶品シートのおかげで、長時間の運転でも疲労や痛みを感じることはない。そのうえ張り出したサイドサポートのおかげでホールド性も抜群だ。




そのまま休憩もそこそこに都内までの212kmを一気に走り切り、平均速度は84km/hで燃費19.2km/Lを叩き出した! このステージは全体的に下り傾向だったが、それにしても20km/L近い数字が出るとは驚きである。




三つのステージを総合すると、走行距離は554km、平均速度は60km/h、平均燃費は16.4km/Lとなった。大人2名乗車で荷物満載であったことと、とくに燃費を意識せずに流れをリードするペースで走り続けたことを考えれば、予想を上回る好結果だったと言えるだろう。

どこまでも走り続けたくなるのは、優れたツアラーの証だ
タップリとしたクッションがもたらすネットリとしたアタリと、張り出したサイドサポートによる高いホールド性……シートのデキはパーフェクトだ


ルノー・メガーヌGTスポーツ・ツアラー


全長×全幅×全高:4635×1815×1450mm ホイールベース:2710mm 車両重量:1480kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1618cc ボア×ストローク:79.7×81.1mm 最高出力:151kW(205ps)/6000rpm 最大トルク:280Nm/2400rpm トランスミッション:7速DCT タイヤサイズ:225/40R18 車両価格:354万円


ルノー・メガーヌのすべて

新型ルノー・メガーヌのすべてがわかる一冊!インプレッションからライバル比較、デザイナーやエンジニアのインタビュー、長距離テスト、使い勝手、メカニズム解説など、多角的にメガーヌGTの魅力に迫ります。定価880円、11月8日(水)発売!

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【長距離テスト】ルノー・メガーヌGTの燃費が予想以上だった!