日本における電チャリを振り返るとママチャリの普及と共に歩んで来た歴史がある。今では子供を乗せられる低くて長い車両タイプが目立つが、あくまで実用的な移動道具として人気を獲得してきたわけだ。
ヤマハPAS に対して同社がYPJ ブランドを立ち上げたのと同様、今電チャリの世界にも変革の波が訪れている。簡単に言うと実用車ではなく、スポーツ感覚で走りや移動を楽しむ事へ、オシャレなライフスタイルへの提案が既に多く芽吹きだした。
今回発表されたボッシュのe-Bike戦略もまさに、従来の電チャリとは異なる走りの気持ちよさと新たな自転車ライフを提案する上で新風を巻き起こそうとしているのだ。発表会の質疑応答でも、既存の電チャリと何が違うのか?と言う、報道陣の質問に対して「ともかく試乗してみて下さい」と回答。そこには従来の電チャリとは異なるパフォーマンスと楽しさを秘める自信の程を伺わせる口振りが印象的だった。
また発表会に同席したのはTREK、Bianchi、 corratec、ternの4社。世界の有名ブランドが顔を揃えボッシュから供給を受けるe-Bike Systems搭載の日本向け新製品を披露した。
e-Bike Systems搭載車の価格帯はざっくり20万円以上。電チャリの実勢価格は10万円前後、高級タイプでも14万円程度だから、2~3倍のプレミアム商品で勝負に出る戦略。電チャリに限らず、自転車に対する価値観はまさに人それぞれ。マニアから見れば高くはないのかもしれない。いずれにせよ、新しいカテゴリーの投入で、日本の電チャリ市場が一気に華やぐことは間違いなさそうだ。
さて、記者が試乗したのはcorratecのE-POWER SHAPE。700C×32Cのタイヤを履くスポーティーなシティサイクルで、10段外装ギアやブレーキ等はシマノ製を装備。ボッシュのユニットはワンウェイクラッチがついているがペダリングを止めた時にフリクションで供回りする感覚が少しばかり残る。しかし違和感はそれだけ。抜群にスムーズな発進、最も印象的なのは、10㎞/hを超える領域でもアシストが元気良く気分爽快。
国内法規対応の中でどれだけの違いを出せる物なのか、少々疑問を感じながらの試乗だったが、わかりやすく言うと発進や登坂重視の低速型に仕上げられている従来品に対して中速域でのアシストを重視した味付けの違いを実感した。いわゆる出力特性の違いがフレッシュな心地よさを発揮。新カテゴリーの電チャリとしては、それぞれが誇る機能性やブランド力を考えると、プレミアム製品へのエントリーモデルとしては、各車共なかなか程良い魅力的な仕上がりと思えた。