今年、日本からはプロクラスにアンダー鈴木(S15シルビア)、ファイヤー安藤(ランサーエボ)、そしてオープンクラスに、北海道のクロカワ・テツヒロ(RX-7)の3名が遠征した。
なかでも注目なのは、参戦7回目となるアンダー鈴木。ツクバサーキットのレコードホルダーにして、これまでの最高位は世界第2位、4年連続で表彰台に立っている国内最速のアタッカー。今国内で涌いているタイムアタックブームを牽引してきた男だ。
今年もアップデートされた車両の詳細は次号(11月26日発売号)のオプションで改めて紹介させてもらうが、マシンのポテンシャルは大幅アップ。タービン、燃料、ナイトロなどを見直したことで1000psを越える出力を得て、シフト機構はパドル式としてきた。機関系に関しては練習日から最終日までトラブルらしいトラブルは皆無、ドライブにも安定度が増していた。
今年こそ・・・悲願の優勝、世界一の座に上り詰めることを思わせる走りを練習から見せてくれたが、ライバル陣も同様に進化していた。
結果をいうと、2年連続で優勝を果たしたのがMCAサスペンションのS13シルビア(通称ハンマーシャーク)。なんと、昨年の優勝タイムを1秒以上更新する大会レコードをたたき出した。このレベルのマシンが毎年ラップタイムを1秒以上つめるアップデートを重ねていることには頭が下がる。
そして2番手は、RP968のポルシェ。このチームは昨年度も2番手だったこともあり、アンダー鈴木同様、明らかに優勝を狙ってプッシュしている様子が窺われたが一歩及ばす。それでも昨年より1秒5以上タイムを更新している。
そして、3位がアンダー鈴木。最終セッションでは昨年の優勝タイムを超えるなど見せ場を作ったが、MCAへのリベンジは叶わず。
通常なら“世界3位おめでとう!!”というところだろうが、狙いを優勝、世界一に絞っての参戦だけに悔しさもあるだろう。
というわけで結果だけを見ると、昨年とトップ3の入れ替えはなかったが、3台とも大幅なポテンシャルアップを感じさせる走りで、まさ息を飲む接戦、見事なバトルが繰り広げられた。
そんなWTAC参加車両の奇想天外なチューニングの内容は、11月25日発売のオプション1月号で徹底レポートするので是非見てもらいたい。
ドラッグからタイムアタックに転向し、瞬く間にその頭角を現した四国・香川の風雲児ファイヤー安藤。日本国内でもトップアタッカーとしての地位を確立、世界に挑んだ。
気合い一発の性格を持つアタッカーだけに、ミラクルの期待もかかったが、初の世界戦は甘くなかった。
ギヤ比の選択ミスで加速は精彩に欠け、マイナートラブルが重なりセッティングもままならない中、初日の後半にはエンジンの圧縮までなくなりモーターチェンジ。
さらに、夜間に積み替え作業のハズが、イベント運営スタッフの伝達ミスで夜間作業が認められず、決勝2日目の午前中にあたる2スティントを失ってしまった。
エンジン換装が終了した後の本格アタックと考えていた、最終セッションでは、アタックに選んだタイミングが悪くベストタイムと思われた1分26秒964はダブルチェッカーの判定となり認定されず。それでも、プロクラス5位のポジションで初遠征を終えた。
北海道から2年連続でWTAC、オープンクラスに参戦したクロカワ・テツヒロ。昨年の経験が活かし、チーム運営も安定したが、エンジンの調子が整わず練習日からあせりに襲われる。
決勝初日を終えてから、現地ショップにシャーシダイナモを借りてチェックしたところ、エキマニとインタークーラー配管にクラックが発見された。最終日にやっと車両の本調子を出すことができた。
結果はオープンクラス7位、クラス内FR最速としてトロフィーを得たが、目標はオープンクラス優勝だっただけに表彰式では笑顔が出せず!?
ホットなチューニング情報満載!!
オプションは毎月26日発売です