この技術については、2017年10月22日から26日まで米国アトランタで開催される国際会議「The International Congress on Applications of Lasers &Electro-Optics(ICALEO)」での発表と、2018年1月30日から2月1日まで米国サンフランシスコで開催される国際展示会「Photonics West 2018」での公開を予定している。
概要 3Dプリンターを用いた積層造形技術は、他の加工法では作れない複雑な形状の造形、多様化する顧客ニーズに対応した究極の少量多品種生産の実現等、ものづくりに革命を起こす潜在能力を持ち、さまざまな分野における実用化が期待されている。 特に、純銅素材の製造・加工については、航空・宇宙・電気自動車等の多くの産業から期待されている一方で、近赤外線レーザーを用いた従来の3Dプリンターでは純銅素材の溶融などに課題があった。 そこで、NEDOプロジェクトで、大阪大学接合科学研究所の塚本雅裕教授らの研究グループは島津製作所と共同で、日亜化学工業と村谷機械製作所の協力を受け、世界で初めて、青色半導体レーザーの高輝度化により純銅を積層造形できる3Dプリンターを実現した。 まず、純銅粉末を溶融させるために必要なパワー密度を得ることができる出力100Wの高輝度青色半導体レーザーを開発した。波長450nmの青色半導体レーザー光を、コア径が100μmの光ファイバーから出力することで、直径100μmのスポットに容易に集光することが可能となる。出力100W時の直径100μmのスポットにおけるレーザー光のパワー密度は、1.3×106W/cm2となり、純銅粉末を溶融させるのに十分なパワー密度を実現できた。
図3 純銅の積層造形のサンプル そして、この高輝度青色半導体レーザーの集光ヘッドを図1のように配置したシステムを図2の筐体内に収めたSLM(Selective Laser Melting)方式3Dプリンターを開発した。 SLM方式3Dプリンターとは、Additive Manufacturing (3Dプリンター)の方式のひとつ。金属粉末を敷き詰めた後、選択的にレーザーを照射し、加熱、溶融、凝固させた後、金属粉末を再度敷き詰める。これを繰り返すことによって3次元造形物を製造する方法である。 この3Dプリンターにより、純銅の積層造形(図3)に成功しました。この3Dプリンターは、ガルバノミラーを使用せず、図1に示した集光ヘッドを直接稼働させる構造にすることで、低コスト化を実現している。 この成果により、従来の近赤外線レーザーを用いた3Dプリンターでは困難であった純銅をはじめとする材料の積層造形など、航空・宇宙・電気自動車等の産業に必要な加工部品への応用が期待される。 また、SLM方式3Dプリンターは、LMD(Laser Metal Deposition)方式3Dプリンターよりも造形精度が高いので、複雑な構造の流路を持った純銅ヒートシンク等への応用も期待される。 (LMD方式3Dプリンターとは、Additive Manufacturing (3Dプリンタ)の方式のひとつ。金属粉末をレーザーの照射領域へ供給することで金属粉末は加熱、溶融、凝固される。これを繰り返すことによって3次元造形物を製造する方法) この技術については、2017年10月22日から26日まで米国アトランタで開催される国際会議「The International Congress on Applications of Lasers &Electro-Optics(ICALEO)」での発表と、2018年1月30日から2月1日まで米国サンフランシスコのモスコーニセンターで開催される国際展示会「Photonics West 2018」での公開を予定している。