従来の左右に曲がるときの操舵はもちろんのこと、たとえば高速道路でカーブを曲がる場合などに車輪のキャンバー角を「ハの字」に変化させることで、高い速度を維持したまま安定性を確保する。また、アクチュエータを伸縮させ、ホイールベースを変化させることも可能。前後の車輪の間隔が短くなれば自動車の小回りが効くので、縦列駐車などもより簡単になる。
さらにバリオリンク サスペンションは、走行中の振動を少なくしたり、4輪すべてに搭載すればより多彩な動きを実現する。この技術は電気自動車や自動運転を、まさに“手足"となって力強く前進させていく。
(以上、NSKのプレスリリースから)
走行状況によってリンク長を制御し、タイヤの性能を充分に発揮させようというアイディア。画像から判断するに、車体側に多角形のマウント部を備え各辺にピロボール式マウントを装着、バリオリンク本体外筒と接続している模様。内筒もピロボールを用いてハブ側に接続、角度を三次元で自在に可変させる構造のようだ。ばねとダンパーを、ひょっとするとタイロッドすら廃せるかもしれない可能性がある。
4本リンク=ダブルウィッシュボーン式+1本リンクでトーのコントロールで5本というイメージだろうか。伸縮自在の可変リンクならば4本でもいけそうな気がするし、これだけの大型部品となると少しでも重量を増やしたくないという要望もありそうだから、ぜひ5本である理由を訊いてみたい。
課題はパッケージングか。もちろん本リリースにあたっては、イメージをわかりやすくするためにバリオリンク自体を大きく長く描いているだろう。ボールねじ+モータの構造なら、徒にトラベル長に欲をかかない限り短く作ることも可能と思われ、現況置き換え用のリンク長として仕立てることもできそうだ。