ホール8は、自動車メーカーとメガサプライヤーの館。自動車メーカーは、ルノー、シトロエン(プジョーは不参加)、トヨタ、レクサス、スバル、ヒュンダイ、CHERY、長城汽車と日仏韓中の非ドイツ勢。と思ったら、PSAグループに買収されたオペルもこのホールである。スバルの前デザイン部長の難波さんによるコンセプトカーチェック(放談)の第6弾はルノーです。

パリやフランクルフルトのモーターショーのルノーのブースは、ここ数年、なだらかな丘が作ってあり、そこにクルマを並べるというスタイルがとられている。今回のフランクルフルト・モーターショーでは、その奥にガレージ付きの住宅が作られていた。ガレージ付きというよりは、家の中にクルマが入っている感じだ。






ー次はルノーのコメントお願いします。それにしても、なんでこんな展示なんですかね。モダンリビングのインテリアってことですか? かつての日産ティアナみたいに。


難波:そうですね。なにを、提案してみようかなって感じですけど、最近は次世代の自動車の進化っていうのかな、技術的な面の進化を表現するのにカタチはどうもあまり意味がないというか、カタチに意味があるんじゃなくて、そういう世界になっていくだろうっていうことを示唆すモデルがやっぱり多いんじゃないかと思うんですよね。だからこれも多分インテリアの過ごしかた、4人が自動運転で走っているときに、向き合ってお話しができるっていうのが提案で、その提案自体はもういくつもされてきていて、だからルノーもやってみましたってことになるんでしょうね。




ー2030年の自動運転、電動化、コンテクテッドが実現したときのクルマってこといたいですよ。このシンビオズの特徴は、自動車と住宅の融合っていうことですね。


難波:なるほど。

クルマがせり上がっていく!

せり上がったら、クルマで外出していくというイメージだ。

ーおっ、クルマがせり上がっていく! ああ、こうやって家の中から外へ出て行くというわけですね。(しばらくながめていると……今度はまた家の中にシンビオズが降りてきた)シンビオズなら帰宅したら乗ったまま住宅の中に入ってきて、インテリアの一部として機能する……といいたいらしいです。


難波:外観としてはね、フロントのフェンダーが長く、リヤのフェンダーがそれを受けるという典型的な、そのプレミアムなゾーンのクルマの作りかたっていうかな。あえて、ウェッジにシェイプを効かせるんじゃなくて、水平に重心を移動する、その、静かに駆け抜けていくって感じのものなんですけど、それにしては意外にボディサイズの動きとか、それからウインドウとCピラー辺りの切り上がり方とか含めてわりとスポーティな味は出してますよね。

難波:まあ、あまり格好をとやかく言うコンセプトカーじゃ、ないと思います。うん。まあ、そうですね。ルノーであるべき、こういうのをルノー感とかっていうのはどうなんでしょうね? フロントウインドウもやっぱり相当あれじゃあ苦労しちゃっています。うーん、やっぱり地に足が着いていない提案って感じがしますけどね。だからね、みんな典型的でしょ。同じでしょ、やることが結局。




ー同じ?


難波:カタチはもちろんそれぞれやっぱり違うけど、こういうの見てもね、取り立てて新しい驚きはないんですよね。まあ、ボディサイド、ドアサイドの面のちょっと下から上に抜けているようなところ、あそこは、まぁ美味しそうですけど。ドア面ですよ。ドア面。影がこうあって、フェンダーから出た空気が上に抜けていきそうな感じ、そこだけがちょっと少し美味しそうですけどね。これがもう、部屋のソファと同じ素材を使ったり、色も同じ。屋根もそう。ガルウイングですね。ですから自動運転のときに、みんなが楽しく会話できて、そのまま目的地に着いた、もしくはお家に帰ってきたら、家のなかに入ってきて、っていうのを今回は謳ったものなんです、らしいです。


でも、あの、紙コップだけ冴えないですね。




確かに、車内のテーブルに置かれたコップが愛想のない紙コップで、これは冴えていなかった。

これが冴えてない紙コップ。

難波 治 筑波大学芸術学群生産デザイン専攻卒業後、スズキ自動車に入社。カロッツェリア・ミケッロッティでランニングプロトの研究、SEAT中央技術センターでVW世界戦略車としての小型の開発の手法研究プロジェクトにスズキ代表デザイナーとして参加。独立後、国内外の自動車メーカーのデザイン開発研究&コンサルタント業務を開始。2008年に富士重工業のデザイン部長に就任。13年にCED(Chief Executive Designer)就任。15年10月から首都大学東京トランスポーテーションデザイン准教授。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ルノー編 シンビオズ SYMBIOZ 2030年 クルマと住宅の融合