そんななかではもはや、真新しさだけのインパクトでは進めない状況になりつつある。そんな迷いが見られたのが、このモデルであるかもしれない。
これまでのBMWは、彫刻的といわれるエモーショナルな造形を車に与えることで大注目されてきた。その影響は全世界の自動車メーカーに及んだといっていいほどで、ボディサイドに深いキャラクタラインを刻んだBMWに類似した造形が実に多かったことは事実だ。
その展開は見事というほかなく、BMWらしさを進化させヒットを続けてきた。
ところが、iシリーズの本格展開はここからが正念場。これまでクリス・バングル氏がその指揮を取ってスタートした造形だったが、彼の引退後にエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏が引き継ぎ、今までBMWアイデンティティを進化させてきた。
そしてiシリーズについては、すべてを彼が独自に行わなければならない。そのお手並み拝見となるのがこれからのiシリーズといってもいいかもしれない。
重要なのは、全く異なる価値観を表現する必要のあることだ。その価値観をどこへ持っていくのか?
後輪駆動であっても、フロントに動力源を持っていく必要がない。また大げさなプロペラシャフトも必要ない。また安全性への配慮は必要だが、バッテリーをどこに搭載してもいい。つまりこれまでの3ボックスという概念が壊れても全く問題がないのがEVなのだ。