そんな熟成を重ねてきたスカイウェイブ400が2017年夏、バーグマン400として生まれ変わった。
そもそもユーロ圏では、スズキの大排気量スクーターは、「バーグマン」の名で販売されており、ボディデザインも日本のスカイウェイブとはちょっと異なるユーロチックな味付け。2014年から日本で発売されているバーグマン200も、元々はユーロ市場をメインターゲットとしたモデルである。
バーグマン400の基本コンセプトは、「エレガント アスリート」。4輪の「バーグマン・クーペ」を彷彿とさせるスリムでスポーティなボディデザインと、快適性・実用性を高い次元でバランスさせているのが特徴だ。
優れたフレーム剛性を確保しつつ、スリムかつ軽量に設計されたフレームワークによって、スカイウェイブ400リミテッド比で、装備重量は10kg以上のマイナス、全幅も60mmほどスリム化を実現している。実際に走ってみると、車重差以上に車体がコンパクトで扱いやすい印象をうけた。諸元表を見比べてわかったのが、スカイウェイブ400リミテッドと比べると、バーグマンは全長が35mm短く、ホイールベースも5mmほど短くなっており、これもあってスカイウェイブ特有の鈍重さが払拭され、ヒラリヒラリとした操作感に直結しているのだと思われる。
エンジンは水冷DOHC、ボア81mm×ストローク77.6mmで総排気量は399cc。新設計キャタライザーを備えた排気システムとイリジウムプラグなどを採用することで、平成28年排出ガス規制に対応させている。また、スカイウェイブ400(4.2L)よりも容量の大きな5.0Lサイズとしたエアクリーナーボックスによって低中速域のトルクを強化されており、
走行フィーリングは同じ大排気量スクーターのTMAX530のような生粋のスポーツマシンとは異なった、発進時の穏やかかつ扱いやすい出力特性が印象的だった。このエンジンが本領を発揮するのは、ハイアベレージで巡航する高速道路のような場面。250ccクラスでは心もとない本線への合流や追い越し時でも、スロットルを全開にすることなくスムーズにパスできる、エンジンパワーのゆとりが魅力的だった。8500rpmからがレッドゾーンなのに対して100km/h巡航時のエンジン回転数は約6000rpmを示す。最高速を出すまではテストできなかったが、120km/h巡航でもまだまだエンジンに余力を感じることができた。
気になった点が一つ。メーターパネル中央の液晶モニターに表示される外気温計が実際よりも高く表示されるということだ。スカイウェイブ250やスカイウェイブ650など、スズキのビッグスクーター全般みられる傾向なのだが、実際の気温が30℃ちょいなのに対して、バーグマンの400のモニターが示していた数値は43℃。エンジンの熱がこもりやすい場所(バーグマン400はフロントカウル内)にセンサーを設置しているのが理由と思われ、外気温計の数値を過信できないのが残念に感じた。
その一方で優秀な部分は数えきれないほど挙げられる。例えばシート下の収納スペースは、ボディをコンパクト化しながらも、フルフェイスとジェットタイプが1つずつ収まる42Lの容量を確保、開口部が広く、奥行きも十分なのでバックパックも難なく収納することができた。
また、シートは従来よりも20mmほど厚みを増して座り心地を改善したクッションを採用したことで、シート高自体は45mm高くなったが、シート先端部のスリム化とフットフロアボードを絞り込んだことで、足着き性を大幅に改善している。
これらのほかにも、エレガントな顔周りに一役買っている「左右独立型LEDヘッドライト」や、ウインドプロテクション効果を得られる「スクリーン」、「イモビライザー付きのキーシリンダー」の採用などなど、細分に至るまで充実化が図られており、走りの性能も先述のとおり、十分なもの。「バーグマン400はなかなか良くできている」というのが正直な感想だ。
■■SPECIFICATIONS■■
・全長×全幅×全高 2235×765×1350mm
・ホイールベース 1580mm
・シート高 755mm
・車両重量 215kg
・エンジン種類 水冷4ストDOHC単気筒
・排気量 399cc
・ボア×ストローク 81.0mm×77.6mm
・最高出力 31ps/6300rpm
・最大トルク 3.7kgm/4800rpm
・燃料タンク容量 13L
・燃費 25.0km/l(WMTCモード)
・トランスミッション Vベルト無段変速
・ブレーキ(前)ダブルディスク(ABS) (後)ディスク(ABS)
・タイヤ(前)120/70-15 (後)150/70-13