これにより、世界の自動車メーカー各社はNMRPを利用したヘラー製のマシンを導入することで、エネルギー効率の高い「鉄系溶射皮膜」を採用したエンジンを安定した品質で量産することが可能となる。
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自動車エンジンのピストンが上下運動するシリンダーボアを摩擦や熱から保護するため、通常シリンダーボアの内側には2.6mmほどの厚みを持つ鋳鉄製ライナーが挿入されている。
近年、エンジンの軽量化や燃費向上のため、鋳鉄製ライナーに替わる技術として、高性能車や超低燃費車を皮切りに、溶けた低炭素鋼を吹き付けることにより約0.2mmの薄膜化を実現する「鉄系溶射皮膜」の採用が始まっている。
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加工後にシリンダーボアの内面を鏡面仕上げとすることから「ミラーボアコーティング」とも呼ばれ、軽量化や冷却性能の向上により、ドライバーに我慢を強いることなくエンジンのエネルギー効率を向上させることができる。
だが、鉄系溶射皮膜(ミラーボアコーティング)の量産には、高度な溶射技術に加え、常に爆発・圧縮にさらされているシリンダーボアの内面でも溶射した皮膜が密着を維持する技術が必要なため、一部の高性能エンジンにしか採用されていなかった。
日産が開発したNMRPはボーリング加工の一種で、工具と加工条件を最適化することにより、溶射皮膜が強固に密着するようシリンダーボアの内面を粗面化。NMRPと適切な溶射技術を組み合わせることで、鉄系溶射皮膜(ミラーボアコーティング)を持つエンジンの安定的かつ安価な量産を可能としている。