移動体衛星通信サービス大手企業である英国インマルサット社と三菱重工業は、インマルサット社の第6世代通信衛星「Inmarsat-6」シリーズ初号機の打上げ輸送サービスを三菱重工に委託することで合意し、契約を締結した。衛星は仏エアバス ディフェンス アンド スペース社が製造中で、2020年にH-IIAロケットで打上げ予定。三菱重工にとって、海外顧客からの衛星打上げ輸送サービス受注は、今回で5件目となる。

第6世代通信衛星「Inmarsat-6」シリーズ初号機(以下、「Inmarsat-6 F1」)は、Lバンド周波数帯域とKaバンド周波数帯域のペイロードを同時に搭載した世界初の通信衛星である。この衛星は、従来のLバンドサービスにおける通信能力を飛躍的に向上させることで、移動体(携帯電話、船舶や飛行機等)向けの安全かつ低価格な通信に加え、IoT(モノのインターネット)向け機器通信サービスを提供するもの。




またKaバンドサービスは、2015年から開始した第5世代通信衛星によるグローバルエクスプレス(Global Xpress)システムをさらに向上させる。このKaバンドにより、需要が大きい地域においても高度な通信能力を発揮し、グローバルカバレッジを強化させる計画だ。

インマルサット社のルパート・パース(Rupert Pearce)CEOは、次のように述べている。




「Inmarsat-6 F1衛星の打上げに、三菱重工とH-IIAロケットを選定したことを喜ばしく思います。当社の戦略において、打上げ輸送事業者との協業体制は特に重要であり、その協業関係を拡充、多様化できるよう常に努力をしています。三菱重工はH-IIAロケットを用いて、世界水準の打上げ輸送サービスを提供してくれると信じています」


「新型ロケットH3の開発に見られるように、三菱重工がイノベーションを追求する企業であるのは明らかです。これは我々が当社のパートナーに求めることであり、打上げ輸送事業を担う当社パートナーの一員として、三菱重工との長く実りある関係に期待しています」

一方、三菱重工 宇宙事業部長の渥美 正博は、次のように抱負を語っている。




「移動体通信業界のリーディングカンパニーであるインマルサット社に、今回当社の打上げ輸送サービスを選んでいただけたことを光栄に思います。今回の決定については、これまで当社が大切にしてきた高い信頼性とオンタイム打上げの実績、さらにそれを支える技術力が高く評価されたものと理解しています。打上げに向けて顧客の期待に応えられるよう、これまでと変わらぬ『おもてなしの心』で今後具体的な調整・準備を進めてまいります。さらに、今回の輸送サービスが現在開発中のH3ロケットによる打上げ輸送サービスへとつながるよう、インマルサット社との末永い良好な関係を築いていきたいと存じます」




三菱重工の打上げ輸送サービスは、打上げ成功率約97.6%に加えて2005年以降35回連続成功という高い成功率を誇り、そして定刻打上げにより、高い顧客満足を実現している。H-IIAの後継機となるH3ロケットは現在、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工が共同で開発中。H3初号機は2020年の打上げを計画し、このH3は価格を含めた顧客満足度を向上させた打上げ輸送サービスを可能とする。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 三菱重工業、インマルサット社の「Inmarsat-6」シリーズ初号機打上げ輸送サービスを受注