ジャガーは、まさに夢のようなライフスタイルを実現させようと試みている。驚くことに、あの世界で最も美しいと評されるEタイプをレストアしたうえで、パワートレインを電動化させることに成功したというのだ。あくまでもコンセプトモデルとはいえ、これが現実となれば”欲しい!”と思うエンスージアストは多いのではなかろうか。

ジャガーを代表する名車E-TYPEをベースに、電動パワーユニットを組み合わせた「E-TYPE ZERO」を、ロンドンで初開催されている「Tech Fest 2017」で初公開した。




製作したのは、コベントリーにあるジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークス。「E-TYPE ZERO」のために、出力220kWの電動パワートレインを特別に開発し、リチウムイオンのバッテリーパックは、オリジナルの「E-TYPE」に使用していた6気筒のXKエンジンと同じ寸法かつ重量もほぼ同等に仕上げたという。




この電動パワートレインは、XKエンジンと同一の場所に配置できるようエキスパートによって開発され、電動モーターおよび減速ギアもバッテリーパックの真後ろに配置、E-TYPEのギアボックスと同じ位置に置かれている。そして新しく造られたプロペラシャフトを用いて、キャリーオーバーされたディファレンシャルとファイナル・ドライブに電力を送る構造を採りながらも、総重量はオリジナルのE-TYPEよりも46kg軽くなっているというから驚く。




現行のガソリンエンジンやトランスミッションと同じの重量とサイズをもつ電動パワートレインを使用していることから、サスペンションやブレーキなどの車体の基本構造を変更する必要がなかったというのも注目だ。そのため、電動パワートレインの統合と認証取得が取りやすく、さらに前後重量配分も変わらないため、オリジナルのE-TYPEと同様に、ハンドリングや乗り心地、ブレーキングなど、走行性に大きな違いがないという。

この「E-TYPE ZERO」を手がけた、ジャガー・ランドローバー・クラシックのディレクターを務めるティム・ハニングは次のように語る。


「E-TYPE ZEROは、E-TYPEが誇るダイナミックな走りを継承しながら、電動化することでパフォーマンスをさらに向上させています。このユニークな組み合わせによって、息をのむようなドライビング・エクスペリエンスを提供します。私たちがE-TYPE ZEROを製作した目的は、将来を見据えたクラシックカーを提示することです。このコンセプトモデルを市場に提案し、お客様がどのような反応をされるのかが楽しみです」




そして「E-TYPE ZEROの新しい電動パワートレインと、オリジナル『E-TYPE』のダイナミックなセットアップをシームレスに組み合わせるために、車両の出力を制限しています。最適なドライビング・エクスペリエンスを実現できたと自負しています」




今回「Tech Fest 2017」で公開する、E-TYPE ZEROは、E-TYPE Series 1 Roadsterをレストアしたものだ。21世紀の最新パワートレインを搭載し、計測機器とダッシュボードを変更したことを除いては、オリジナル仕様を完全に再現しているとはいえ、エネルギー効率を考慮してヘッドライトはLED式を採用。それでも原型を崩さず処理したというから徹底している。




あくまでもコンセプトカーではあるものの、これはヴィンテージカーをベースにした新しいカスタムの理想かもしれない。何しろオリジナルの美しさをそのままに無音かつ無煙、そして電動パワーユニットのメリットを活かして、0→100km/h加速は、オリジナルよりも1秒速い5.5秒を実現するというのだから……。

最新のイフォテイメントシステムも搭載。軽量化を目的に内装にはカーボンやアルミ素材が使用されている。
電動化に伴い従来ある給油口は充電用の充電口に変更されている。


■オリジナル「E-TYPE」について


1961年に発表した「E-TYPE」は、時代を経てもなお最も美しい自動車としてたびたび選出された1台。あのエンツォ・フェラーリも「世界で最も美しい車」と称賛したことでも有名。




■電動パワートレインについて


ジャガー・ランドローバー・クラシックからの詳細なブリーフィングをもとに、電動パワートレインのスペシャリストがジャガー・ランドローバーのエンジニアと協力して開発。これから発売される予定のジャガー・ランドローバー初のエレクトリック・パフォーマンスSUV「I-PACE」のテクノロジーやコンポーネントも取り入れている。




■実用性


「E-TYPE ZERO」は、軽量化と優れたエアロダイナミクスにより、実用的な航続距離270kmを実現。40kWhのバッテリーは家庭用電源で充電可能(電源に応じて通常6~7時間)。




■ジャガー・ランドローバー・クラシックとは


世界中のジャガーおよびランドローバーのクラシック・モデルの愛好家向けに、正規クラシック・モデル、エキスパートによるサービス、純正パーツ、卓越したユーザーエクスペリエンスの提供を行う。




英国コベントリーにあるジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークスでは、熟練したエンジニア、若手エンジニア、そして実習生を含むチームが急速に拡大しており、両ブランドの「REBORN」シリーズのレストアに従事するとともに、「E-TYPE Lightweight」や「XKSS」といった、“NEW ORIGINAL(新しくありながらオリジナルに忠実)”な特別モデルにも携わっている。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 名車”ジャガーE-TYPE”の電気自動車!?