製作したのは、コベントリーにあるジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークス。「E-TYPE ZERO」のために、出力220kWの電動パワートレインを特別に開発し、リチウムイオンのバッテリーパックは、オリジナルの「E-TYPE」に使用していた6気筒のXKエンジンと同じ寸法かつ重量もほぼ同等に仕上げたという。
この電動パワートレインは、XKエンジンと同一の場所に配置できるようエキスパートによって開発され、電動モーターおよび減速ギアもバッテリーパックの真後ろに配置、E-TYPEのギアボックスと同じ位置に置かれている。そして新しく造られたプロペラシャフトを用いて、キャリーオーバーされたディファレンシャルとファイナル・ドライブに電力を送る構造を採りながらも、総重量はオリジナルのE-TYPEよりも46kg軽くなっているというから驚く。
現行のガソリンエンジンやトランスミッションと同じの重量とサイズをもつ電動パワートレインを使用していることから、サスペンションやブレーキなどの車体の基本構造を変更する必要がなかったというのも注目だ。そのため、電動パワートレインの統合と認証取得が取りやすく、さらに前後重量配分も変わらないため、オリジナルのE-TYPEと同様に、ハンドリングや乗り心地、ブレーキングなど、走行性に大きな違いがないという。
■オリジナル「E-TYPE」について
1961年に発表した「E-TYPE」は、時代を経てもなお最も美しい自動車としてたびたび選出された1台。あのエンツォ・フェラーリも「世界で最も美しい車」と称賛したことでも有名。
■電動パワートレインについて
ジャガー・ランドローバー・クラシックからの詳細なブリーフィングをもとに、電動パワートレインのスペシャリストがジャガー・ランドローバーのエンジニアと協力して開発。これから発売される予定のジャガー・ランドローバー初のエレクトリック・パフォーマンスSUV「I-PACE」のテクノロジーやコンポーネントも取り入れている。
■実用性
「E-TYPE ZERO」は、軽量化と優れたエアロダイナミクスにより、実用的な航続距離270kmを実現。40kWhのバッテリーは家庭用電源で充電可能(電源に応じて通常6~7時間)。
■ジャガー・ランドローバー・クラシックとは
世界中のジャガーおよびランドローバーのクラシック・モデルの愛好家向けに、正規クラシック・モデル、エキスパートによるサービス、純正パーツ、卓越したユーザーエクスペリエンスの提供を行う。
英国コベントリーにあるジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークスでは、熟練したエンジニア、若手エンジニア、そして実習生を含むチームが急速に拡大しており、両ブランドの「REBORN」シリーズのレストアに従事するとともに、「E-TYPE Lightweight」や「XKSS」といった、“NEW ORIGINAL(新しくありながらオリジナルに忠実)”な特別モデルにも携わっている。