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スポーツカーを所有する際、どちらを選ぶか悩む方が意外と多いのかもしれない。
今回は、オープンカーの影に隠れつつも、独自の美しさで圧倒的な存在感を放つクーペモデルのデザインについて触れてみたいと思う。
※あくまで著者の独断と偏見でチョイスしたクーペであることをご了承願いたい。
オープンの爽快感は、車体の軽さも手伝って2輪のような人馬一体感があるように思う。筆者自身、何気ない景色ですら感動を感じる独特の空気感がたまらなく好きで、オースチン・ヒーレー・スプライトにはじまり、現在のMGBまで長年所有している。
しかし実のところ著者は、(かなり限定されてしまうが)基本的にオープンが有名すぎて、影に隠れがちなモデルのクーペのデザインが大好物。ただの「クーペフェチ」というひとくくりでは表現できない、そのなかでも特殊な「フェチ」といっても過言ではないほど愛してやまないのである。
特に、屋根からテールにかけての流れるようなデザインは、オープンモデルと比較してもまったく引けを取らない美しいディテールに魅了されているクルマも数多い。
著者は数年前までMGC GTを所有していたのだが、現在所有しているMGBと比較(エンジンは、まったくの別物ではあるが)して、圧倒的に異なるのはデザインよりもドライブ中の安心感であろうか。屋根があるだけで遮断された空気の流れとボディーの剛性から「守られている感」がオープンの状態とは別のクルマであると主張しているように感じるのだ。その分、軽快さを犠牲にしているのは事実だが、クルマの楽しみ方としては(この場合、使用目的とはまったく異なる)オープンとは違う走りの素晴らしさを提供してくれるのである。
前述のとおり、オープンカーとしてもっとも有名な旧車で真っ先に思い浮かぶのはMGBであろう。
MGBは、1962年から1980年まで52万台以上も製造されたイギリス製のスポーツカーだ。1965年よりGTを生産しているのだが、フロントウインドウもまったく別のガラスを使用してデザインを作り直している。ハッチバックスタイルのデザインはMGBのデザインを崩すことなく、まるで元々存在していたかのような「そつのない完成度の高さ」である。