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大阪(湊町OCAT)から山形県酒田市まで南海バスの「サザンクロス号」に乗車しました。乗車時間は約13時間25分、距離にして約809kmの長距離バスの旅。
さすがにこれは疲れるかな? と思っていたら、意外や意外! 疲れ知らずのあっという間のバス旅でした。
山形県の北西部、日本海に近い酒田市は、山形県内では第3位となる人口11万人の都市です。また、酒田には、山形県唯一の離島「飛島(とびしま)」があります。ヨーロッパからの渡り鳥の休憩地としても知られる島で、酒田から定期連絡便が運行されています。
また、秋田県との県境にそびえる「鳥海山(ちょうかいさん)」(標高2,236m)は、"庄内富士"の愛称で多くの登山ファンから人気を集める山のひとつです。
サザンクロス号を利用する人たちは帰省や旅行に加えて、登山客が多いのも特徴と言えるでしょう。
大阪~酒田間があっという間に感じる、サザンクロス号の車内設備を紹介します。
サザンクロス号は27人乗りの夜行高速バス。3列独立シートとともにゆったり余裕のシートピッチが自慢です。
中央座席(B席)でも窮屈さを感じない座席空間を確保しているので、隣座席の人の肘がふれる事はほとんどありません。
深く後方にリクライニングするシートは、ベッドに横たわっているような錯覚を覚えるほど気持ちのよい角度で包んでくれます。
ワイドなフットレストと、ふとももを優しく支えてくれるレッグレストは、より快適な座り心地を提供してくれます。
乗車時に通路を通って奥の座席に向かおうとすると、ふと「歩きやすいな」と感じました。よく見るとB席を仕切るカーテンが中央にまとめられていたので、歩行時の妨げにならずとてもスムーズに移動できました。ちょっとした工夫ですが、乗客が素早く座席につけます。
サザンクロス号は酒田市までの長い道中で休憩が2回。かなりの長距離を走る夜行高速バスとしては休憩回数が少ないですが、車内にトイレ設備があるのでトイレの心配はありません。
車内で利用できるWi-Fiサービスは登録や設定は不要。スマートフォンのWi-Fi設定をオンにして「NANKAI_BUS_Free_Wi-Fi」を選択するだけで、時間制限なしでWi-Fiの利用が可能です。
移動中にアームレスト下にあるACコンセントで充電しておけば、車内でバッテリー切れになる心配もありません。13時間におよぶ乗車時間ですが、スマートフォンや音楽プレイヤー、タブレットPCなどの電子機器を好きなだけ使える環境です。
OCATは、難波で有数のバスターミナルだけに、各のりばからほぼ10分間隔で途切れることなくバスの発着が続きます。
もちろん、待合室、トイレ、コンビニなどもそろっています。サザンクロス号は途中の休憩が少なく、パーキングエリアや道の駅で食べ物を購入するのが難しいので、翌日の朝食などは事前に買っておくと良いでしょう。飲み物は休憩場所の自動販売機で購入が可能です。
乗車前の事前準備として、車内で使わない物はひとまとめにし、トランクルームへ預けておきましょう。
荷物を預けて荷物票を受け取り車内へ。下車の際に荷物はこの札と交換になります。サザンクロス号は定刻19:40にOCATを出発。
OCATの次の停留所は南海なんば高速バスターミナルです。
このバスターミナルがあるスイスホテル南海大阪の隣には、2018年10月に新しいランドマーク「なんばスカイオ」がオープンしました。おしゃれな物販の店からカフェやスーパーマーケットまである、今大阪で話題のスポットです。ちょっと覗いてみたい人は、南海なんばバスターミナルを利用するのが便利です。
次は、大阪駅前(桜橋口アルビ前)に停車します。JR大阪駅桜橋口改札からわずか3分の距離にある、もっとも大阪駅から近いバスのりばです。
バスのりばに面した商業施設アルビには、mont-bellをはじめアウトドア系のショップが並んでいるので、鳥海山登山へ行く人にとっては万が一の忘れ物にも対処できる便利なのりばです。
途中、高速京田辺バスのりば(21:00)を経由して、京都駅に到着したバスは最後の乗客を乗せ定刻21:30出発。いよいよ山形へと向かいます。
途中、草津パーキングエリア(滋賀県)第2駐車場で休憩です。第1とは違い売店などはなく、お手洗いと自動販売機のみの休憩エリアです。
休憩ではバスを下車する際に人数確認を正確に行なうために、整理券(番号札)を渡されます。乗り間違いや乗り遅れがないように、との南海バスの配慮です。休憩は21:59~22:09の10分間でしたが、ぴったり1分の誤差もなく定刻どおり発車できました。
※2018年11月21日(水)より休憩箇所が黒丸PAに変更されています。
草津パーキングエリアを出発すると、まもなく消灯となります。
時間は22:15、普段なら「夜はこれから!」という人も多いでしょう(私もその口ですが)。しかし、車内の照明に気持ちを落ち着かせる効果でも? と思ってしまうほど、すっと眠りに誘われて、いつの間にか眠ってしまったようです。翌朝6:00に起床するまで一度も目が覚める事はありませんでした。
翌朝6:00、窓を叩く雨の音で目が覚めました。
カーテンの隙間から外を覗くと、雨と風の中をサザンクロス号は走っていました。休憩場所「道の駅あつみ」は山形県鶴岡市に位置し、日本海に面した景観が楽しめる場所ですが、この日は風とうねる日本海の荒波がよせる光景でした。
この風景もなかなか迫力があって見応え十分ですが、雨が降っていたので早々にバスへ戻ります。
終着の酒田まではまだ時間に余裕があるので、朝食は乗車前にコンビニエンスストアで購入したパンと「道の駅あつみ」で手に入れた熱い缶コーヒーを車内でいただきます。こんな時に収納式のテーブルは実にありがたく役に立ちます。
8:55定刻にバスは酒田庄交バスターミナルに到着しました。
ここで私以外のすべての乗客が下車しました。当初、私もここで下車する予定だったのですが、今回の取材で大変お世話になった南海バスのベテラン乗務員の方のご厚意で終点「さかた海鮮市場前」まで乗せていただくことになりました。
酒田庄交バスターミナルから約10分、サザンクロス号は最後のバス停留所「さかた海鮮市場前」までやってきました。
ここは、飛島と酒田間を結ぶフェリーのりばが隣接するエリアです。海鮮市場の食堂は朝7時からの営業なので、海鮮丼でちょっと贅沢な朝食を迎えたい人にオススメ。
ちなみに、早朝あれほど荒れていた天候が、ここ酒田では青空がひろがる気持ちの良い天気に変わりました。
京都を出たサザンクロス号は北陸自動車道を通り日本海東北自動車道を経て、山形までやってきました。
途中休憩は2回のみ、渋滞の少ないルートと3列独立シートの快適な車内設備のおかげで深夜に目が覚めること無く、大阪~酒田間があっという間に感じました。
関西にいると、東北地方は遠い土地というイメージを持っていましたが、意外! サザンクロス号を利用すれば身近な土地だと気がついた今回のバス移動でした。
(出雲義和)