- 週間ランキング
「小満(しょうまん)」は、二十四節気の立春から数えて8番目、毎年5月21日ごろで、今年(2025年)は5月21日が小満にあたります。期間でいうと5月21日から6月4日まで(芒種(ぼうしゅ)の前日)になります。
この時期は、植物が茂り、万物が成長し始める時期とされています。名前の「小満」は「小さく満ちる」と書きますが、「満ちる」とは言っても、まだその完全な状態にはなっていないことを意味していて、少しずつ成長をはじめ、まだ最盛期には達していない時期ということです。
具体的には、農業や自然界では、作物が順調に育ち始める時期です。気温も高くなり、日照時間も徐々に長くなってきます。人々の生活でも、活動が活発になる時期です。草木が勢いよく成長し、田畑の作物も実を結びはじめ、人々はその様子を見て安心感を覚える、といった「小さな満足」を得られる時期とも言えそうです。
「小満」の頃、5月下旬は春の終わりから初夏にかけての時期で、自然や暮らしの中に季節の移ろいを感じる言葉がたくさんあります。いくつかご紹介しましょう。
・新緑(しんりょく)・青葉(あおば)・若葉(わかば): 木々の緑が目にまぶしく、一年で最も美しいとされる時期です。
・薫風(くんぷう): 新緑の間を吹き抜ける、清々しく心地よい初夏の風。
・五月晴れ(さつきばれ): 本来は旧暦5月(梅雨時)の晴れ間を指しますが、現代では新暦5月の清々しい晴天を指して使われることも多いです。
・麦秋(ばくしゅう・むぎあき): 麦の穂が実り、黄金色に輝く収穫期を迎える頃。初夏を表す季語です。
・走り梅雨(はしりづゆ): 梅雨入り前の、ぐずついた天気のこと。
これらの言葉は、手紙の時候の挨拶や、俳句の季語などにも使われます。場面や情景に合わせて使ってみると良いでしょう。
春から初夏へと季節が移り変わる「小満」の頃は、自然と調和して暮らすための知恵が、暮らしのあちこちに根付いています。
例えば「衣替え」。小満の頃、5月下旬になると、汗ばむ陽気の日が多くなり、夏の装いへと少しずつ衣替えする時期です。綿や麻などの涼やかな素材を取り入れたり、半袖を用意したりして、汗ばむ日にも心地よく過ごすことができます。
また、日差しが強くなってくるため、直射日光を避ける「すだれ」や、音で涼しさを感じる「風鈴」、地面を冷やす「打ち水」なども、暮らしの中に“涼しさ”を呼び込んでくれる昔からの知恵です。
また気温が上がるこの時期は、保存食作りにも適しています。5月下旬はちょうど青梅が出回り始めます。梅酒や梅シロップ、梅干しなどの梅仕事や、らっきょう漬け、新生姜の甘酢漬けなど、保存食作りをするのもオススメです。手仕事を通じて季節を感じるのも良いですね。
ただ、暑くなり始めの時期は熱中症にかかりやすくなったり、だるさが出たりと体調不良も起きやすい季節です。紫蘇やミョウガ、生姜、ねぎといった薬味を積極的に取り入れたり、軽い運動やストレッチなどをすることで、血行の流れを良くしたり、むくみを取ったり、食べ物の消化を良くしたり、体の巡りを良くすると良いでしょう。冷たい飲食物のとりすぎにはご注意ください。
また梅雨に向けて湿気が多くなる時期でもあります。雨の日はジメジメしてくる時期ですので、カビなどの湿気対策や食品の管理にも注意が必要です。
日々の生活の中で初夏の季節を感じ「小さな満足」を得ながら、小満の時期を豊かに過ごせるといいですね。