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春の訪れを告げる花といえば、フクジュソウを思い浮かべる方が多いのでは。漢字で書くと「福寿草」。おめでたい名前なので、お正月の鉢として贈ると喜ばれます。
フクジュソウは北海道から本州の山野で見られる黄色い花で、ウメの花が咲くころに蕾がふくらみます。でも、北海道でウメが咲くのはサクラとほぼ同じ時期で、だいたいゴールデンウィーク前後。それよりも早い3月中旬になると、ウメよりもフクジュソウのほうが先に咲くという逆転現象が北海道では起きます。道南では3月上旬~中旬になると、フクジュソウの花が咲いたことが地方ニュースで放送されたり新聞に掲載されたりして、雪解けが始まるころの風物詩となっています。
北海道には、キタミフクジュソウという、道東だけにしか咲かないフクジュソウがあります。一株に一輪しか咲かないのが特徴で、春の訪れが最も遅い道東で、雪解けのころになると真っ先に咲きだします。
北海道では気温がまだまだ低いとはいえ、春分の日のころになると日差しが明るさを増し、フクジュソウの花の黄色が、枯れていた野山に彩りを添えていきます。それはまるで、いよいよ春が始まることへの合図でもあるかのようです。
雪が解けた後の北海道の庭は、重たい雪に押しつぶされた枯れ葉で覆われていて、あまり美しいものではありません。そんな荒れ地のような地面から、春になると真っ先に花を咲かせるのがクロッカス。クロッカスは寒さに強く、植えっぱなしでもよく生育するほど丈夫なので、寒い北海道に向いている花です。球根なので、放っておいても毎年増えるので、手入れが楽。紫色をはじめ、白、黄色などがあります。
道南の函館市にある遺愛学院では、毎年3月末ころになると、敷地内の旧宣教師館(国指定の重要文化財。通称ホワイトハウス)のまわりに一斉にクロッカスが咲き、毎年、クロッカスの開花がメディアでも取り上げられています。現在、積雪が0となった函館市では、遺愛学院のクロッカスが今年はいつ咲くかが市民の話題にのぼる季節となりました。
春の楽しみといえば、山菜のおいしさをあげる方もいるのでは。春の山菜で最初に採れるのがフキノトウです。フキノトウは、ワラビやタラの芽を摘むときのように、わざわざ野山に出かけなくても、その辺の道端や土手、公園や自宅の庭など、いたるところで見つけることができ、簡単に採ることができます。芝生といっしょに、あちらにもこちらにも、あまりにもたくさん生えるので、まるで雑草のような扱いをされるフキノトウもありますね。
北海道で自生しているフキは、ほとんどがアキタブキ。雪が解けると、道南では早ければ3月下旬あたりから、日当たりがいい土手などでフキノトウが芽を出します。たとえ雪が残っていても、写真のように、それを押しのけて芽を出す姿は、春という季節の力強さを感じますね。そろそろ春めいてきた北海道。早くフキノトウを味わいと心待ちにしている道民も多いのではないでしょうか。
雪解けとともに咲くスノードロップ。マツユキソウという名前のほうが、耳なじみがあるかもしれません。寒さに強いので、北海道でもよく植えられています。まだ寒さが残る北海道で、白く可憐な花が春を待ちわびたように咲く姿は、長い冬を乗り越えてきた道民の目を和ませてくれます。
草丈は10cmほど。下を向いている白い花は、まるでミニランプのよう。小さくて可愛らしい花なので、庭などに植えるときは、いくつかまとめて植え込むと見栄えが倍増します。
札幌の百合が原公園の花壇では、3月上旬にはもう、スノードロップが開花しました。今年の開花は例年よりも1週間ほど早いそうです。雪深い北海道に、いち早く春の訪れを告げるスノードロップ。その可愛らしい姿をずっと見ていたいので、開花時期がもっと長ければいいのに、と思ってしまいますね。
参考
京都大学 フィールド科学教育研究センター 北海道研究林:フクジュソウ
北海道庁 建設部まちづくり局都市環境課:クロッカス
遺愛学院:遺愛のクロッカスがテレビでも多数、紹介放映されています。
函館市公式観光情報 はこぶら:春の楽しみ、遺愛学院ホワイトハウスのクロッカス
大通公園:スノードロップ
百合が原公園:屋外でも春の気配
Plantia:春を告げる白く可憐な花「スノードロップ」を育ててみよう
北海道以外では、ウメ、モモ、サクラの順に花が咲き、長い期間、春という季節を楽しむことができますが、北海道ではウメもモモもサクラも一斉に咲くので、春の期間が短いかもしれません。雪と氷に閉ざされた季節が終わり、積雪がすでに0となった地域もある北海道。これから、短い春が始まろうとしています。